5 sideT

「王様、辻川さんに何かしたんじゃないの〜?」
「…うるせえ。」
「ふーん。本当に自覚あるんだ。」
「っおい日向行くぞボケェ!」
「逃げんの?」

月島はいちいち腹がたつこと言ってくる。でもそれが間違ったこと言ってないからさらに腹がたつ。月島にも、俺自身にも。

辻川、とか言ってたあいつを初めて見たのは確か中学最後の大会。あんな試合をした後だったからその時すげえイラついてて。そんなときにあいつが話しかけてきたもんだから、すごい冷たくしたことは覚えていた。

その後1週間くらいその時見た女の子の表情が忘れられなかったくらい、心残りになっていた。まさかこんなところで再会するとは思わなかった。それになぜか烏野バレー部と仲良いし。菅原さんの妹?とか言ってるし。

「影山ー!パス練付き合えよ!」
「今行く。」
「お前何難しい顔してんだよ!単細胞なんだから考えてもいい案なんて出ないぞ!」
「ああ!?うるせえ!」

日向にボールを投げ当て、そのことは一端忘れることにし、バレーに集中した。







試合終了。俺たちは無事勝利し、部活に入ることが出来た。

日向とのマッチアップは想像以上にいい感じに終わった。自分でもびっくりするくらい、やりがえのあるトス回しだった。俺は思わず両手を握りしめた。

「みのりちゃん!?」
「どうした!?」
「っすみませんっ、」

みんなが集まっている先にはあいつが泣いているようだった。訳がわからなかったけど、多分俺には関係ないしと思って遠目で見ていた。

そしてあいつは体育館から飛び出すように出て行ってしまった。心配そうな目でみんながその後ろ姿を追う、菅原さんが何故か凄い血相で俺の方へと歩み寄ってきた。

「え、なんすか。」
「影山!ううう〜悔しいけどお前が追ってやれ!」
「は?」
「いいから早く!辻川みのりな!名前!」
「いや、何で俺が、」
「あいつが泣いてた理由お前にあるから!みのりのこと追わないと俺がお前を認めない!」
「…っす。」

くそっ何で俺が。そもそもどこに行ってしまったかもう分かるはずがな…と思ったが案外すぐ近くにいた。俺はあいつの名前を初めて呼んだ。