12 sideK


みのりは安心しきったようで眠ってしまった。

毎週通院の帰りには俺が家で待っていて、家事など手伝ってそのまま泊まってしまうことも多かった。

「俺の、だったんだけどなあ。」

妹のように可愛がってきたみのりは、小さい頃から俺の後ばっかりついてきて、近所でも仲が良いで有名だった。でもある日、みのりの家が離婚して母親が出て行ってしまい、それから半年後に当時小学3年生だったみのりは学校で倒れ救急車で運ばれてしまった。

それでもみのりの父親は仕事で来ることはなく、俺の家族が全員で手術室で待機し、震える俺の肩を母さんが支えてくれたのを今でも覚えている。

病名はその後父親にだけ伝えられたらしく、俺たち家族はみのりの病名までは今でも分からない。多分みのりは分かってるだろうけど、俺には教えてくれなかった。

みのりの両親のことを何度も薄情だと思った。こんな小さい女の子を置いて出て行ってしまうなんてひどい大人だ。その思いは今も変わらないが、一度だけみのりのお父さんに頭を下げられたことがある。

「みのりのこと、よろしくお願いします。」

そう言ったみのりのお父さんは、ここらじゃ有名なエリート会社員で、みのりもお父さんのことが大好きでよく話していたが、そんないい大人が頭を下げて唇を噛み締めていた。その姿を見ていた時、したくて放置したわけでもなく、みのりのことを大切に思っている気持ちはあることに少しだけ安心をした。

そうやってみのりを残して東京へ行ってしまったお父さんのことは、やっぱりどうしても許すことはできなかった。





そんなとき、みのりは出会った。


「孝支くん!ねえ、あの子!あの子なんて名前の人!?」
「どれどれ?」
「あのボール1番触る人!あ、今!今ボールあげた人!」
「あーあれは影山飛雄だよ。えっと確かみのりと同い年じゃないか?」
「影山、飛雄…。」
「やっぱみのりから見ても上手いってわかる?」
「…綺麗。」


スポーツをやっていて、相手を綺麗だと思う人は早々にいないと思う。でもみのりは、影山のことを綺麗だと言った。それからバレーの勉強もして、影山が出る試合には幾度と足を運んでいるその姿を見て、いずれはこうなるんじゃないかってどこかで思っていた。

でも実際にこうなったとき、俺はみのりへのこの気持ちが家族愛ではなくてそうなりたい愛だったことに気がつくんだ。いつだって俺は不毛だ。

「好きだよ、みのり。」


世界で1番、お前のことが。