土曜日。今日はお客さんとして行くため、私服で体育館へと向かった。春だけど、まるで夏のような暑さで、私は思わず目を顰めた。
水色のお気に入りのワンピースは、家を出て行ってしまったお母さんがくれた最後の贈り物。それに白いカーディガンを羽織り差し入れのレモン漬けを持って体育館へと入った。
「こんにちは〜。」
「みのり!よく来たな!」
「田中先輩、これ差し入れです!皆さんで食べてください!」
「うおおおいつもの!俺超好きなんだよなあ!ありがとな!」
「あーみのりちゃん私服だ可愛い!」
「山口くん、ありがとう。今日は試合出るの?」
「1年俺だけでないんだ〜…」
「そ、そっか…えっと、いつか出れるよ!」
「ありがとう!今日結構暑いから、体調悪くなったら菅原さん呼んでね!」
「うん、お気遣いありがとう。」
「影山、今部室にいるけど。」
「…月島くん、だから私は、」
「みのりー!観客として来てくれたところ悪いんだけど、部室にギブス取りに行って来てくれ〜!」
孝支くん、絶対にわざとだ。でもここでわざわざ行かないのもおかしいので、私は言われた通り部室へと向かった。
ノックをすると今行きますと影山くんの声がした。
「影山くん、辻川です。入っても平気?」
「え、辻川さん?」
影山くんは扉を開いてくれたと思えばびっくりした表情でわたしのことを見た。そういえば今週学校で会わなかったからなんだか久しぶりな感じがした。
「今日はお手伝いじゃなくて、見に来ました。」
「…おう。」
「でもギブスを持って来いと言われたので来ました。」
「そ、うか。」
「中入っても大丈夫?」
「おう。」
静かに扉は閉ざされた。