病院を退院したその日、私は家に帰って久しぶりに家事ををした。少しの運動で疲れてしまうほど体が弱っていたのでまずは家事から体力作りをしなくては、と思い気合を入れたところでインターフォンが鳴った。
孝支くんかなと思い玄関まで駆け寄って扉を開けると、予想外の来客で私は思わず言葉を失った。
「…元気ですか。」
「影山く、ん…?」
「……。」
「あ、えっと…ご心配をお掛け致しました…?」
「…本当だ。」
「…ごめんなさい。」
影山くんは少しむっとしたような表情で私のことを見た。立ち話も何なんで私は影山くんを家に入れ、お茶をだした。
「どうぞ。」
「病み上がりなのにわるい。」
「ううん。全然、寧ろ動かないとと思ってたから。」
「無理するな。」
「…うん。ありがとう。」
影山くんには感謝してばっかりだね、と言えば影山くんはお茶を一気に飲んでテーブルに顔をうつ伏せた。
「辻川さんは、俺に夢見すぎだ。」
「…そんなことないよ。」
「俺は辻川さんに感謝されるようなことそんなしてない。」
「……。」
「今日だって俺がただ辻川さんの姿見たくて来て、…自分のことばっかりで、」
「ううん。違うよ。」
「違わない。」
「例え影山くんがそう思ってても、私はこうやって影山くんが私のことを心配して来てくれたことが嬉しくて、感謝したくなっちゃうの。」
「…良い人すぎる。」
「普通だよ。影山くんが優しいの。」
「辻川さんだから、来たんだよ。」
この目に、全てを吸い込まれてしまいそうで。私はこの恋心に必死に蓋をした。