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あの後、面会時間が過ぎ影山くんは何も言うこと無く病室を後にした。ここが潮時かな、そう思った。

「もしもし、お父さん?」
『どうした?』
「今日の入院で20回になっちゃった。」
『…じゃあ約束通りだ。』
「はい。」

私は電話を切り、病室に戻った。月の明かりが強い夜だった。







翌日。

私は病院を退院し、久しぶりに家に戻った。そして真っ先に菅原家に向かった。

「みのりちゃん!退院できたのねえよかった!洋服とか平気だった?適当にみのりちゃんの部屋から持ってきちゃったやつだったけど…。」
「うん!いつもありがとう。それで、急なんだけど私、東京でお父さんと住みながら治療に専念することになりました。なので来週にはこっちを発つことになります。おばさん達には本当にいつもお世話になって、感謝でいっぱいで、」
「まってみのりちゃん。本当なの?」

「…はい。東京に、行きます。」