35 sideT

「影山ー!ついでに部室からスプレー持ってきてくれるか?」
「了解す!」

俺はタオルを部室に置いたまま忘れてしまったので部室に戻った。鞄の中を漁ってると、携帯が震えたのを確認した。いつもなら見ないのに、その時の表示が辻川さんだったので俺は気になって携帯を開いた。

「…東京?」

メッセージは、東京に行く、もう戻ってこないかもしれないなどと非現実的な内容で、一発で頭に入ってこなかった。


「影山?」
「…す、がわらさん……あ、の、」
「……連絡、あった?みのりだろ。」
「知ってたん、すか。」
「…ごめん。お前には堅く言うなって言われてた。」
「っこれって、今日ってことっすか!?」
「……。」
「嘘だろ?菅原さん、これ嘘ですよね!?」
「…みのりは、12:00の飛行機で行っちゃう。影山、今から行けば間に合うかもしれない。お前の後悔しない道を選べ。」



『影山くんは私のヒーローなんだよ。』

『私に夢と希望を与えてくれてありがとう。』

『影山くんのことが好きです。』


息を吐いて、目を閉じれば辻川さんが笑っていた。もう会えなくなってしまうなんて嫌だ。折角好きだって言えた、好きだって言ってくれたのに。

俺は菅原さんの横を駆け抜け、烏野ジャージを着たまま自転車に飛び乗った。