11:00。
「あと1時間、か。」
私は待合室で携帯を開くと、影山くんから連絡が入っていたことに気がついた。
【いくな】
シンプルな言葉。でもそれが影山くんらしくて、最後まで彼に惹かれていく。私は返信すること無く、思い出の余韻に浸った。
きっと影山くんならプロになる。そしたらテレビで彼のバレーを見ることもできるし、一生会えなくなるなんてことは、きっとない。きっとないはずだけど、やっぱり悲しい。
もう教室で勉強を教えたり、烏野の体育館でバレーを見ることはない。私の作ったご飯を食べて美味しいって笑ってくれることはないかもしれない。
また影山くんのことを遠くから見るファンに戻るだけ。それだけなのに、今の距離を知ってしまった。笑って泣いて、照れて苦しんで、コート上以外の影山くんの魅力にも私は落ちてしまった。
「(好き、)」
影山くんが、大好き。
自分勝手な思いだって分かってる。だけど、もう一度彼に、会いたい気持ちが大きくなった。
私は携帯を開き、メッセージを残した。
【会いたい】