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「影山くん、あの…好きって話だけど、」
「…ああ、うん。」
「私は、…ごめんね、影山くんのこと、今も昔も好きでも嫌いでもないんだ。」
「…俺は辻川の感情に存在すらしてなかったんだな。」
「…そんな悲しそうな顔しないで。」

影山くんのその顔を見ると、何だか無性に悲しくなるのが移ってしまう。でもそうさせてるのは自分だっていうことも知っているから、胸が少し苦しくなる。

私は受け取ったココアを飲み、立ち上がった。

「本当にあの夜のことは、反省しています。私が影山くんに対してどういう行動をとったかはわからないけど、もし勘違いさせるような行動をしていたら本当にごめんなさい。」
「……。」
「これからも陰ながら応援してるね。バレー、頑張って「俺は、このチャンスを逃がしたくない。…やっと会えたんだ、付き合わなくてもいい。またこうして会ってほしい。」

まるで捨てられた子犬のような目をしている。ううっ影山くんのこの表情は苦手だ。断るに断れない、本当にずるい人。

「…会うだけなら。」
「本当か!?」
「う、ん」
「…付き合ってなくても、連絡していいか?」
「仕事で返せないかもしれないけど、それでもよければ…。」
「…でもたまには返信欲しい。」
「あ、うん…。」
「っし!また家にも来てほしい。」
「…どんどんハードル上がってるよ、影山くん。」
「そ、そうか?」
「家は、ダメ。外なら、たまにはいいです。影山くんの息抜きになるなら、今度はお酒なしでご飯食べに行こっか。」
「いつなら行けるんだ?」
「え、あえっと…。」
「俺は今オフシーズンだからわりといつでも行けるから辻川に合わせる。」
「…うん、じゃあ連絡するね。」
「おう!待ってるからな!」

その笑顔は、高校時代には見たことがない顔だった。