「みのり…?」
「…お、とうさ、ん…。」
「っ今先生呼ぶからな。よく頑張った、戻ってきてくれた…!」
「…泣いて、る。」
「泣いてない、…これは、涙じゃない。」
目が覚めると、お父さんがわたしの両手を握ってくれていた。これは夢じゃない、現実なんだと思った。
「辻川さん、よく頑張りましたね。」
「せんせい、わたしは、」
「手術は約半日、12時間に渡る大手術でした。そこから2日間、辻川さんは眠っていました。」
「…そうですか。」
「成功です。後は様子を見て、同じように通院を繰り返して頂ければ、いずれスポーツすることだって可能です。」
「…そう、なんですね。」
今ようやく自分が起たれている現実がわかった。
「もう、生きていることに、死を感じなくても…いいんですか?」
「…うん。そうだよ。」
「もう、何をするにも諦めなくても、いいんですか?」
「好きなことをしていいんだ。」
「っ、先生、本当に…ありがとうごますっ、」
いつも、いつ死んでもいいと思いながら生活をしていた。生活の中に死は隣合わせだった。それから解放されるなんて、夢のようで私は嗚咽が混ざって掠れ、声にならない声が病室に響き渡った。
私は、勝負に勝ったんだ。