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「1カ月ぶりくらいだね。」
「ああ、うん。」
「ラインで色々近状は聞いてるけど、楽しそうだよね影山くん。」
「でも今日が1番楽しい。」
「…そっかぁ。」
ストレートに気持ちを伝えてくる影山くんに、つい物怖じしてしまう。そんな私に気がついたのか、影山くんは焦って変な動きをしていた。
「変な影山くん。」
「っあー…辻川、あのさ。ラインでも言ったけど明日から俺Vリーグの合宿で連絡ができねえんだ。」
「言ってたね。」
「だけど俺のことは忘れないでくれ。」
「…へ?」
「連絡しなくても、俺のことは、」
「忘れないよ?え、何で?」
「…辻川は忘れっぽいから。それに、俺のこと…好きか嫌いかになってほしかったから。…いや嫌いは嫌だけど。」
「…いつも忘れっぽいわけじゃないよ。それに、影山くんのことは忘れないよ。」
「……本当か?」
「うん。もしかして忘れられるからって思って毎日連絡してたの?」
もしやと思い聞くと、案の定影山くんはこくりと頷いた。積極的にぐいぐいきていたわけではなくて、ただ忘れてほしくないからという純粋な気持ちだったんだと思うと、勘違いしていた私が少し恥ずかしい。
「ごめんね、影山くん。でも、影山くんと連絡が途切れてた数年間だって影山くんのことは忘れてなかったよ。だから少し連絡が空いたって忘れたりしないよ。」
「…そうだったのか。」
「そうだよ。前の話した内容を忘れちゃったりしたのはお酒のせい、だから。…ごめんね。」
「謝らないでいい。辻川が、俺のこと覚えててくれてるなそれでいい。」
ああ、昔と何も変わらない強い瞳。影山くんは根本的に何も変わっていなくて、素直で真っ直ぐな人だった。
私はあの頃から変わっているのだろうか。少なくとも素直に応援の言葉が出てくる昔の方がずっと、素直だった気がした。