晴れて(?)影山と恋人になったわけだけど、対して友達やってた頃と何が変わったわけではない。ただ帰り道、手を繋いで帰るようになっただけ。それだけである。
それだけでも友達期間が長かったわたしたちにとっては大きな進歩なんだけど、最近影山がずっとそわそわしている感じがした。
「ねえ。」
「なんだ?」
「…手汗すごいんですけど。」
「んな!わ、わざとじゃねえし。」
「いやわざとだったら嫌いになるよ。」
「…わざとじゃねえから。」
「わかってるって。」
影山は怒ったり落ち込んだり忙しい。私の一言で揺さぶられてる影山を見ると、ちょっと可愛いなって思ってしまったりする。
好きになってから影山について新たな発見がいくつかあった。まず、この人本当に私のこと好きなんだなあって思うことが多々あって、例えば手を握る瞬間はいつもにやにやしてたり、菅原先輩とかと話してるとむすっとしていたりと分かりやすい。
あと影山はすごい可愛い。もともと綺麗な顔をしているとは思っていたけど、かっこいいというよりは可愛い。私なんかよりずっと恋する乙女みたいで、つい素っ気ない態度をとってしまう。あれだ、好きな子に程意地悪をしたくなってしまうあれ。男子小学生か。
「辻川は明日からか。」
「うん。」
「絶対勝てよ。」
「当たり前じゃん。影山より先にインターハイの切符手に入れてくる。」
「おう。」
「なんかパワー頂戴。」
「…パワー?」
「そう。影山のパワー。」
そういえば影山はうーんと言って頭を捻っている。こういうときに少女漫画なら男の子がスマートに抱きしめたりしてくれるものだと思っていた。影山が考えているうちにうちの近くまで来てしまった。
「ぐんぐんヨーグルは学校だし…。」
「ばーか。」
「!?」
「…はい、パワーいただきました。じゃ!」
私は自分から影山に抱き着いて、走って家まで戻っていった。影山、硬直してたけど平気だったかな。ふと鏡を見れば私も大概顔が赤くなっていて誰かに見られるような顔をしていなかった。
明日の大会頑張ろう。