【がんばれ】
影山からシンプルだけど真っ直ぐな連絡が入っていた。私は電源を落としてコートへと降りて行った。全国への枠はたった2つ。団体戦は絶望的なため、個人戦で勝ち進むしか道はない。
私はラケットをいつもより強い力で握り、試合開始の合図より戦いが始まった。
ベスト4に進出した。他の選手はみんな高校3年生。気迫が違った。私はそこで、大きな壁に立ちはだかった。いつもは温度差のある部活の部員も、一丸となって応援してくれた。
それでも決勝への道は閉ざされてしまった。
「ありがとうございました。」
「ねえ。」
「…はい?」
「あんた、なんでそんな強いのに烏野なんてところいるの?」
「……。」
「もっといい環境で練習して、同じレベルの選手が集まるところにいたほうがもっと強くなれるのに。ここで止まる気?」
「……。」
「もったいないよ。ほんっと、もったいない。」
私は何も言い返せなかった。爪が食い込むくらい、握りこぶしを握った。真っ直ぐに観客席に戻ることができなかった。悔しくて、涙が止まらなかった。
こうして私の高校初めての大会は幕を下ろした。
帰り道。
携帯を開くと、影山から連絡が入っていた。
【どうだった?】
「返信、したくない… 」
辺りはもう真っ暗で、私は欲しくもなかった3位の賞状を片手にぼてぼてと家路へと歩いていた。きっと影山は連絡を待っている。返信をしなきゃと思うけど、まだ涙が出てきてしまいそうだった。
家まであと少しというところで、私はそこにいた人物に思わず小さく声が漏れた。
「影山…。」
「…おう。」
私は思わずその姿から逃げるように走った。