「辻川!」
連絡が返ってこなかったから辻川の家の近くで待っていた。でも辻川は俺と目があった瞬間、おっきいラケットバック背負った辻川が全速力で俺から逃げていく。
見ると手には賞状。でも一瞬合った目は真っ赤になっていた。俺らは土手付近まで追いかけっこをし、ようやく辻川の手を掴めた。
「逃げるな、」
「ハァっ…な、んでいるの 」
「なんでって、返事ねえから心配だった、んだよ。」
「返信したくない結果だったって察してよ!」
「…俺、」
「ごめん、影山も大会前なのに、…ちょっと今は冷静に話しできない。」
辻川は震えていた。俺が知ってる辻川じゃないみたいだ。
俺はただ辻川の手を掴んだまま、なんて言葉を掛ければいいのかわからなくなっていた。でもこの震えてる肩を安心させたい。そう思って、俺は少し強引に辻川を抱きしめた。
逃げもしない、抵抗もしない。ただ小さく泣いていた。
「辻川が努力してたのは、俺が1番知ってる。」
「っ…ぅっ 」
「うまく言えねえけど、俺は頑張ってる辻川を認めてるから、一人で抱え込もうとするな。」
「っぅぅ〜、」
「また一緒に頑張ろう。」
「ぅ、んっ… 」
辻川はぎゅっと俺の背中に腕を回した。胸辺りがじんわり冷たくなっていくのを感じた。