2人だけの秘密(にはしません)


「これはいつから?」
「……2週間前怒られた、から…一昨日まではやってなかった、っす。」
「……怒られたってことはやってはいけないことって分かりますよね?」
「…うぬん、」

影山さんは悪いことをしているということは分かっているらしく、気まずそうに顔を反らした。というかうぬんってなんだ。

「影山さん、練習をたくさんすることは確かにあなたの経験となり蓄積されます。でもそれは疲れも同じです。休息を取らないと疲れも溜まって、出したいときに100%の力が出せなくなってしまいます。だから休息は必要なんです。」
「………分かってるけど、」
「なら休む時間はしっかりと取ってくださ」
「分かってるけど俺は練習したい。1分だって今の状況で無駄には出来ない。」
「…………」
「寝る食べる以外はバレーがやりてぇ。」

なんて貪欲な、いやまるでこれじゃ子供だ。この人は全日本選手に選ばれてもなお、上を目指し続けている。成長したいと願っている。正直、ぞくっとした。それでも私はマネージャー、彼のフィジカル管理を少しでも甘くしたら身体を壊しかねない。そうして焦って練習を続けダメになった3軍選手は何人も見てきた。

「ダメです。」
「………俺だっていやだ。」
「嫌でもダメです。私が許しません。」
「おま、」
「今回のことも監督には報告させていただきます。」
「なっ!」
「私は選手を壊したくないんです。選手に万全な体制でバレーボールをしてほしいんです!そして日本代表が世界と戦うところを見たいんです!」
「…………」
「だから、私は影山さんのことを、…影山さんのことを、見張ります!」

もう少し言い方はなかったのかと思うけど目の前のギラギラな青年と向き合うに選ぶ言葉が他になかった。


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