週末は遠征
「明日からの土日は大阪で調整試合だ、今回何が有効的にゲームの中で使えるかしっかり見極めたい。ここに選ばれた代表全ての人材を使う、だから皆自分の出番に結果を残してくれ。対戦チームには今回落ちた2軍のメンバーで構成された特別チームもある、もちろんそこで有望な選手がいたら時期1軍の枠の際候補になるだろう。現時点に甘えず試合をやりきってくれ。」
「「「はい」」」
「それじゃあマネージャーのみのりから連絡事項。」
「はい、辻川です。明日の新幹線ですが、座席は指定となっています。チケットは明日の朝駅にてお渡しします、遅刻厳禁となりますので気を付けてください。もしお時間間に合わなくなってしまった場合は自腹となりますのでご注意ください。ホテルは今回2名1組としています、費用の関係上すみませんがご理解いただけますと幸いです。えー、あと今回もどうやら出待ちなども予想されるそうです。その際にはなるべく愛想はよく、そして平等に。過剰すぎる人が居たらすぐにスタッフにお知らせください。以上です!」
「「「はい」」」
「では解散、今日は全員必ず直ぐに休息をとるように。」
「「「お疲れさまでした!!」」」
一気にみんなが動き、私も監督やコーチらと歩き始める。
「あ、私少し体育館整備してから寮に戻りますね。お疲れ様です。」
「了解、ほどほどにね。」
「はい!また明日からよろしくお願い致します!」
私は用具室に行き、モップを手に取ると再度体育館へと戻った。そこには影山さんが残っていた。
「あれ、何かありました?」
「いや、あれからなかなか話す機会無かったから……」
「ああ、そうでしたね。最近順調そうですね、影山さんは。」
そう話すと影山さんは二ヤっとした笑みを浮かべて「明日スタメン任された」とドア顔で話した。
「すごいですね!きっと監督たちも期待してるんですよ、影山さんには。」
「まあな、俺は佐藤さんにも宮さんにも及川さんにだって負けねえ。」
「うんうん、切磋琢磨してがんばりましょう!」
「おう。………あの、その後身体、平気か?」
「……ああ、全然!大丈夫ですよ?」
まだそのことを気にしてくれていたのか、少し意外だった。本当のことを言えばまだ身体は少し痛むし、痣だって全然直っていない。でもそんなこと言ったって影山さんの負担になるだけで何の得もないんだから噓も方便だ。
「ほんとか?」
「ほんとです。それより影山さん、ここ数日はちゃんと休息も取ってくれていたみたいで安心しました。今日ももう帰ってゆっくりなさってくださいね。」
「…ああ、でも辻川ともう少し話したい。」
「……へ?」
「及川さんとは話してただろ、ずりいよ。」
「………え、と、じゃあ片付けながらでもいいですか?お話、します?」
「おう。」
とは言ってもどういう内容のことを話したいんだろう…私は影山さんがどう切り込んでくるか様子を伺っていたのに話したいと言った割になかなか会話を始めることなくそわそわしている影山さんに更にどうしたらいいのか分からなくなり沈黙が流れる。とりあえずここは何か気を遣って話しかけるべきだと思い、なけなしに会話を始めた。
「影山さん宮城出身って聞きましたが、結構この世代東北勢の活躍が見受けられますよね。」
「ああ、西谷さんとは一緒に高校バレーやってた。」
「らしいですね、他のチームメイトとは今でも仲がいいんですか?」
「いや、俺は同じ学年のやつとは全然連絡取ってない。先輩からはたまに連絡が来たり、地元戻った時に飲みに行ったりするくらいだ。」
「へえ〜、」
「でもあの頃のチームが俺にとってかけがえのない最高のチームだった。今でもそう思う。」
その後も影山さんの母校の烏野高校について詳しく話してくれ、その時の影山さんは何だかとても穏やかですごく楽しそうだった。その時ばかりは年相応の男の子、みたいな感じで思わず会話のやめ時が分からなくなるくらい盛り上がってしまった。
「でその時、月島が俺に、」
「ふふ、影山さん。掃除終わっちゃったので出ましょうか。」
「あ、」
「お話、沢山してくれてありがとうございます。明日もありますし、もう寮に戻りましょう。影山さん、明日スタメンですもんね。」
「おう!辻川は明日初めて俺らの試合見ることになるよな。」
「まあ私は1軍の方々は散々テレビで見てましたよ。会場でも何度か拝見してます。」
「スタッフとして!」
「そうですね、直接関わるのは初めてです。」
「絶対勝つから、初戦の勝利はお前にやる。」
突然の男前発言に私は不意打ちに胸キュンをしてしまった。そりゃ黙ってれば顔はイケメンと世間に騒がれるほどの人間だもの、真顔でそんなこと言われたら私だってときめいてしまう。でもまたどうしてここまでたかがマネージャーに言ってくれるのか、それほどまでに影山さんにとって怪我をさせてしまったことが気がかりだったのかとか考えると申し訳なくなってきた。でもここで何か反論して明日のモチベーションを崩したくないし、私はありがとうございますと笑って答えた。
next,遅刻厳禁のフラグを折る