TPOを弁えてください


先日のライブは大成功に終わった。簡単に打ちあがって、1週間後には福岡でのライブが待ち受けている。我々はまだ第一歩を踏み出したばかりだった。さすがにライブ翌日は朝から予定は入れず、午後からインタビューやら収録やらを淡々とこなす。もはや私がやんやんとこの間のキスのことを千さんに言う余裕も、自分の気が付き始めた気持ちと向き合う時間もない。

「今日もお疲れさまでしたぁ。」
「お疲れ〜…はあ、明日何時の飛行機だっけ?」
「えっと、辻川さん、何時でしたっけ?」
「明日は9:10発の飛行機なので、8:20に羽田空港集合になります。」
「ええええ早い〜早いなあ、早いよお〜。」
「もう千くんが聞いてないふりしてます!」
「千さん…?お願いしますね?」
「……みのり、今日うち来てよ。」
「「「ハ!?」」」

え、まっていつの間にそういう関係に!?と百さんが騒ぎ始めたりぷしゅーっと頭から空気が出て魂が抜けたように崩れ落ちる岡崎さんに対し私は違います!誤解です!と声を上げる。こ、い、つ〜〜っと私は千さんを睨むとあたかも悪いことなんて言ってないかのような飄々とした表情でいた。

「私と千さんはマネージャーとアイドル、です!」
「キスまでした仲なのに?」
「「キスゥ!?」」」
「あ、あれは千さんが無理やり!」
「ユキ、無理やりしたの!?」
「その割には可愛い顔してたよ?自分の顔鏡で見ろって言ったよね?」

わなわなとあの時の記憶が思い出される。私はカッと顔が赤くなるのを感じ思わず顔を背ける。もう今すぐこの場から立ち去りたい、そんなことを思ってると千さんが立ち上がり私の目の前に止まり顎を掴むと無理やり顔を上げることになる。目と目が合うとあまりに綺麗すぎる顔に私は目をぎゅっとつむった。

「可愛い、ねえ目瞑ってるのってキスしてもいいってこと?」
「からかうのはやめてくださいっ!」
「ゆ、ユキくん…そういうことは2人のときに……」
「おかりん!?もうユキ!TPO!TPOを弁えて!」
「ふ、いつだって僕は状況判断してるよ。」
「「「してない!!」」」

私は掴まれた手を払い百さんの後ろに隠れるとむすっとした表情で千さんは私の名前をもう一度呼んだ。

「今こっちに来るか、今夜家来るか今すぐ決めて。」
「っ今日はこれにて失礼いたします!岡崎さん、すみません!ご伝達ありましたらご連絡お待ちしています!それでは失礼します!」
「あ、逃げられた。」

ああ、もう。顔あっつい。