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私は知っている。りっくんはかっこよくて、でも本当は身体が弱くてお兄ちゃんが大好きで優しくてよく泣いてよく笑って、いつもこう言う。
『みのりも笑って!一緒に楽しもうよ!』
そう言われると笑うのが下手くそな私も笑えてるような感覚になって、手を引かれると心がぽって温かくなる。それは全身に巡って、りっくんがだいすきでだいすきでたまらない。そういう気持ちが抑えきれなくて私はりっくんに言う。
『りっくん、だいすき。』
幼いながらもちょっと恥ずかしさもあって。でもりっくんは私のその言葉を二倍にも三倍にもして返してくれる。僕はもっとだいすきだよ、って。みのりと僕はずっといっしょだよって、って。私はそれが嬉しくてうん!と大きな声で返事をする。病院で何度も怒られたっけ。
いつでも一緒に居られる気でいた幼少期。きっと私にとってこれが1番の思い出で、1番のかけがえのない宝物。
【「IDOLiSH7、七瀬陸。衝撃の歌声!ーこれがアイドル界の前線に立つ男ー」】
「……さよなら、りっくん。」
もう君の手の温もり、忘れてしまった。だけど君が元気でやっているならそれでいい、なんて強がって世間の知る”七瀬陸”から目を背けて私は君ともう二度と会わない道で生きていく。
もう私の知ってる”りっくん”も、貴方の知ってる"みのり"も、
どこにもいない。