どんな歌ができるかな(千サイド)


『へぇ、そう、やっとねえ』
「今度万にも挨拶行くよ」
『なんでだよ。ふっ、なぁユキ。よかったな。』
「………まあね。そもそも僕が手に入らなかったものってある?」
『はいはい、じゃあみのりちゃんとお幸せに。』
「あ、今後みのりと2人で飲みに誘ったりしないでね。浮気に値するから。」
『ふはっ、分かったよ。まあみのりちゃんから誘われたらその時は黙って行くけど許してよ』
「許さないからな、ってあ…切れた」

自分でも浮かれてるなって思う。わざわざ万に報告したりなんかして、あ。口止めしとかないと、と思ったけどまあ万のことだ、大丈夫だろうとたかを括って僕は最愛の彼女の連絡先を開く。
最初の印象はあんなに最悪だったのに今じゃこのザマ、連絡先の名前を見るだけで気分がいい。恋愛って本当にすごい。

『はい?何かありました?』
「彼氏が用もなく連絡しちゃだめなの?」
『んぐ…社用携帯じゃなかった、」
「今何してる?」
『えー、お風呂出て明日のスケジュール確認して準備しようかと。あっ千さん明日インナー白系で来れますか?その方が効率いいので、あと』
「ちょっと、仕事の話になってる」
『あ……すみません、つい』

このクソ真面目マネージャー、と呟くと何ですかそれとくすくす笑われる。その笑い声はすごく耳心地がいい。聞くたびにああ、好きだなって思う。今いい歌詞書けそう。

『千さん?』
「あ、ごめん。今歌詞のこと考えてて、」
『えっじゃあ電話切りますよ!?』
「だめ。みのりと話してるときじゃないと歌詞も浮き出てこないから」
『ええ……へ、変なこと歌詞に書いたらだめですよ!?』
「ふ、書かないよ」

変なこと歌詞にするな、なんて君は焦った声で僕を止める。そう歌詞のメモにつらつらと書き留める。これ提出したら怒られるかな、でも結構いい歌になると思う。ああ、すごいな。仕事にも好影響じゃないか、と社長にまた無駄にたて付きたくなってしまう。

「ね、愛してるゲームしようよ」
『ハァ?』
「愛してるって言い続けるゲーム。はい、スタート。愛してる。」
『な、ななな!勝手!勝手だ!』
「次みのりの番」
『っ……………』
「愛してるよ、みのり」
『ぅぅぅぅ〜』
「僕のこと愛してない?」
『っ、ぁ……い、……ぁ…ムリッッッ』

そして耳に残るのはツー、ツーという機械音。
電話を切られたことにようやく理解が追いつくと思わず電話越しで照れまくってるであろうみのりのことを想像して、自分でもニヤケが止まらなかった。