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「お疲れ様です。」
今日も今日とて仕事に行って家へと戻るだけの作業。住まいは東京都と言っても八王子という煌びやかな都心とはかけ離れた田舎。職場も自転車で15分という最高の立地だ。買い物も近所にスーパーもあるしUNIQLOもある。その為生まれてこのかた渋谷や新宿と言った場所には行ったことが無かった。まあ行ったところで何があるという話になるんだけどたまにパートのおばさんたちが「この間伊勢丹で美味しい和菓子を買った」とか「OIOIにあるフレグランスのお店の期間限定品がよかった」とか聞いていると少しだけ興味を持ってしまう。
「まあ、きっとハウスダストの鬼だろ、トーキョー。」
私には無縁の地、そう思いながら四六時中つけている相方のマスクをぐいっと上げ自転車に乗った。
家に帰ると今日も決まったメニュー。雑穀と薄いコンソメスープ、選ばれた野菜。味気ない食事と誰が考えたのか知らないけど私の大好物であるアレルゲンフリーチョコレートはうちの食費の大半を占めていた。とはいえ制限があるから1日1枚は本当は食べすぎと言われてるけど美味しいと感じるうちは許してほしい。(とはいえ本当に怒られたから最近では1日半分にするときもある)
「いただきます。」
テレビをつけながらいつも通り食事。ニュースを読むアナウンサーの名前は毎日聞いてるのに覚えていない。そういえばこの間Lineでアカネ先生がりっくんの番組が今日の20:00からあるって言ってたことを思い出し久しぶりにNHKからチャンネルを変えた。
『ああもう!いおりぃ!ひどいよ〜!』
「っ…!!り、っくん、だ。」
テレビの中に、りっくんがいた。あの頃より成長していたけど、あの頃と変わらないりっくんだ。テレビの中でころころと表情を変え、周りを笑わせている。彼の周りだけまるで光が差しているようなそういう感じ。
『それでは聞いてください、Sakura Message』
一声、彼が歌えば忘れていた私の幼き恋心は一瞬で蘇る。
(『みのり!このお歌をうたうとね、すっごいげんきなるんだよ!』)
(『わたしはうたえないもん、りっくんうたって。』)
(『うん!うたうよ!みのり、きいて!』)
あの歌を歌ってはくれない、だけどテレビの中のりっくんは今でも何かを伝えようとしているのを感じた。無意識に流れた涙の止め方を私は知らない。