最高最強の、(百サイド)

 
「申し訳ございません、私の社員としての行動の未熟さが原因で今回社長も巻き込むこととなってしまいたした。いけない事とは分かっております。でもこれだけは信じていただきたいです。私は最初から千さんとこういった関係を望んでいたわけではありません。彼と日々を共にして、人間的に好きになってしまいました。しかし社長の仰る通り彼が会社に対して影響力を及ぼすこと、アイドルであること、全て理解しています。だって私、Re:valeのマネージャーでしたから……」

みのりちゃんの真面目さがよく出る言葉が並んでいた。今の千の顔は俺には見えないけど、その微かに震える指先で千の悔しさとかとかもどかしさが伝わる。
アイドルである以上に1人の男、その理論も分かるしアイドルをやる以上普通を捨てる、その理論も分かる。応援してくれる人がいるのが当たり前じゃないこと、今の環境が特別でさえあること。俺だって、きっとユキだって分かってる筈だ。
誰かのものになってしまったアイドルに価値が落ちてしまうことはここにいる皆んなが言わずとも認知していた。だからこそ、もどかしいんだろう。

「じゃあ君がすべき事は決まってるも同然、」
「はい。別れる以外の選択肢、ないです」
「っみのり、ちょっとまってよ勝手なこと言わないで」
「千さん、……喋らせてください。」
「でも!」
「社長、……すみません。分かってるんです、自分がただの平社員でいつ切り捨てられても可笑しくないって。わかってる上で、私は……っ私は、この恋を諦めたくないって思ってしまいました」

まさかあの真面目なみのりちゃんからそんな言葉が出てくるとは思わず皆んなの息を飲む音がする。やべ、どうしよう。めっちゃにやける自分の顔を隠す為に俺は口元を塞ぐ。

「千さんの、人間らしい姿を……私は殺したくありません。くだらない喧嘩をして別れるならまだしも、こんな形でお別れをしたらきっと…沢山後悔します。」
「…………………」
「スキャンダルになるようなことはしません、私に、っ……わたしに、ユキさんを支えさせてください!」

お願いします、そう言ってみのりちゃんが頭を下げるとユキも一緒に頭を下げた。あーあ、こんなの見せられたら社長だって何も言えないっしょ。

「社長、大丈夫だってこの2人なら!俺が保証する!てか俺が出来る限り一緒にいるし監視するよ!それで許してあげてくれませんか?」
「っ…………モモ、」

お願いします!と2人と並んで俺も頭を下げた。相棒とその好きな人のために下げる頭なんて軽いものだ。
リスク以上に俺は2人に幸せになって欲しかった。

「……顔をあげてくれ」
「………………」
「君たちの覚悟は分かった。……分かったよ、君たちを認める」
「!?」
「社長……、」
「但し条件がある。もし週刊誌に撮られるようなことがあったらその時は謹慎だけでは済ませられない。……分かってるかな、辻川」
「……はい、覚悟します」
「みのりだけ?」
「もちろん君にも罰は与える。だからそれまでは目を瞑ろう。」
「………はい、絶対に護ります」

そのみのりちゃんの力強い言葉に俺は思わずまた口がにやけそうになった。やっぱうちのマネージャーは最高に最強だ。