3億円の価値ある


【住所→東京都港区×××……】
【着いたらインターフォン鳴らして】

千さんからのメッセージを頼りに着いた先には見上げるほど高いマンションがそびえ立っていた。ここの上階に住んでるとは…さすがトップアイドル、と息を飲みながらエントランスに入り警備員さんに会釈をしてインターフォンを押す。

「あ、の!辻川です!」
『ふは、分かってるよ。開けるね』

開かれた扉の先も私が知ってるマンションの風景とは違っていて、マンション内に普通滝あるか……?とあんぐりしながらエレベーターに乗る。エレベーターも静かに上がり27階目掛けて進む。そしてまた静かに扉が開くとまるでホテルかと思わせるような絨毯になってるフロアに私はまたビビりながら2707号室の前へ。インターフォンを鳴らすとガチャ、と鍵が開けられる。

「いらっしゃい」
「……お邪魔します。」
「なんでそんな不服そうなの?」
「……ここまでえぐいマンション想像してなかったです」
「あはは、芸能人だったら普通なんじゃない?」

スリッパ適当に使って、と言いながら千さんは鍵を施錠し前を歩いていく。その後を追うとこれまた広くて全体的に白の清潔感溢れる千さんらしい空間が広がる。大きい窓からは東京タワーがここぞとばかりに主張していて思わずわぁ…と声が漏れる。

「感動のところ悪いんだけど飲み物紅茶でいい?」
「あっ、紅茶でいいです!ていうか私やりますっ」
「お客様〜洗面所はそちらになりますので手を洗ってきてください〜」
「は…い……」

着ていたコートと鞄を置き、手を向けられた方の扉へ行くと大きな独立洗面台が広がりそこもまるでドラマの中にあるみたいな景色だった。丁寧に手を洗いリビングに戻るとそこ座ってと言われソファに誘導される。
私は言われるがまま座ると千さんも隣にきてマグカップをローテーブルに置く。その距離の近さに妙に緊張してしまう。

「緊張してるね」
「……そりゃしますよ。」
「なんで?」
「……だって、2人、っきり……」
「…………ふーん、みのりちゃんはこういうことされるかもって期待してる?」

え?と聞き返すより先に千さんが2人の距離を詰め私の顎を掴む。突然のことすぎて言葉も出なくて焦る素振りもなくただ無言に見つめ合う時間が過ぎる。たった数秒のことだった、それでも正気に戻り顔を背けようとしたらそのまま千さんが私の唇を奪う。それはただ触れるだけではなく舌先でトントンと表面をつたう、子供じゃないからその意味も分かるし私はそっと薄く唇を開くと直ぐに舌が侵入してきた。

「ん、っンン、」

呼吸と苦しまみれに小さく声が漏れる。その間も千さんは私の髪に手を絡ませながら遊び口内を楽しむように絡ませる。深く、深くそれは何分経っただろうか、離れた時には2人の間を銀の糸が繋ぎ私はへとへととソファにもたれる。

「かわいいね、みのり」
「っ……その顔、心臓にわるい、」

ああ、今の笑みは3億の価値あるだろうな。
そんなバカなこと考えていると再び千さんが目の前にいっぱいになった。