ともだち


「テニス部、どう〜?」
「アーチェリー部です!初心者大歓迎!」
「一緒にフェンシングやりませんかー!」

4月。
大学までの道のりは新入生を入れる為の部活やサークル勧誘がすごかった。私は全てを無視して野球部へーーーなんてことはなく、部活やサークルには入るつもりはない。だって野球部に入ったらゆっくりじっくり高瀬選手の野球を見ることが出来ないし大体私は野球がものすごく好きだというわけではない。高瀬準太のファンなのだ。同じ大学を選んだのもお近付きになりたいからとかじゃなくてただただ味方サイドの客席に堂々と座ってみたかったのだ。


「ねえねえ、サークル何か入る?」
「え」
「あ、突然ごめん。学科、同じっぽいから声掛けちゃった」
「あ、ううん。サークルは入らないよ」
「そうなんだ?あ、私田崎華、よろしくね」
「私は辻川みのり、よろしく」
「みのりでいい?てかさ、率直に聞くけどみのりって桐青野球部見に来てたりした?」
「え!?あ、え!?」
「私桐青の吹部でさ、うちの学年の男子がみのりのこと好きになった〜とかで結構話題になったんだよね」
「………あ、なんか球場で告られた、かも」
「そうそうそれそれ!」
「じゃあ桐青、なんだ」
「うん!でも3年になって来なくなったよね」
「あーー……」
「もしかして高瀬先輩目当てだった?」
「んぐ、」
「あはは!分かりやす!」
「いやこれはあの憧れとかファン的なやつでね、」
「へぇ〜?」
「……高瀬選手の、ファンデス」
「じゃあ野球部入ればいいじゃん!」
「いやぁ野球というより私高瀬選手のファンだから……」
「そんな好きなら告らないの?」
「え!?いや!?そういうんじゃない本当!」
「えーみのり可愛いからいけそうなのに」
「いやいや……違うんだ、高瀬選手は本当」



手の届かない存在だから、それがいい。私にとって高瀬選手はテレビの中の人のような存在で、ただただ怪我なく元気に楽しく野球をしてくれればそれでいいのだ。実際に球場には通っていたけど高瀬選手と話したことがあるのはあの西浦戦での1回だけ。

ま、あれも話したというか私が勝手に語りかけただけな感じだけど。


だから少し怖さはあった。同じ学校になってしまって校内ですれ違ったり……、高瀬選手の野球以外の顔を知らないから知ってしまって幻滅するようなことがないか、とか。でも彼に夢を見過ぎなところがあるから1回そういうところを見るのもいいかもしれない。



「そういえば高瀬先輩、大学ではどんな感じなんだろうね。高校の時は相当モテてたけどやっぱ大学でもモテてんのかな〜?」



そりゃモテるに決まってる。だってあんなにも野球してる姿、かっこいいんだから。