再会と遭遇その2
今日は2回戦を見に球場まで来ていた。
平日だったし授業もあったけど申し訳ないと思いつつ自主休講していつも通りスタンドに向かった。するとスマホが震え確認すると懐かしい名前に思わず顔がにやけた。
「もしもし?」
『おー久々、今日来てんだろ?』
「泉くん、久しぶりだね!来てるよ〜」
『少し会えねえ?』
「私も会いたいって思ってた!アップとかは?平気?」
『15分後からって言われたから今なら時間ある、入り口のトイレ横来れるか?』
「うん!今から行く!」
泉くんとは高1と高3で同じクラスになっていて1年の時は野球部も多くて私は何故か三橋くんの隣りになること多かったからよく大切な時は起こしてやって欲しい、と泉くんに頼まれたっけ。3年の頃も多分クラスでは1番よく喋る男子で、泉くんに彼女が出来た時私が彼女にキレられても私のことは友達だからって庇ってくれたり。
とにかく1番仲の良い男友達は私の中では間違いなく泉くんだ。
「辻川!」
「わー泉くんだ!久しぶり!」
「つっても卒業したの3月だし2ヶ月しか経ってねえよ」
「あはは、確かに!でも高校では毎日会ってたわけだしさぁ〜」
「それもそうだな、にしてももう焼けてね?部活でも始めた?」
「球場焼けです〜、初戦から見に行ってるからね!」
「相変わらず高瀬のこと好きだよなぁ」
「ちょ、泉くん、高瀬選手の方が年上だからね?」
「あーまあそうなんだけど他校だし。てかどうなの、高瀬と同じ学校通い始めて校内ですれ違ったりした?」
「……それが聞いてよ泉くんっ」
「辻川じゃん」
ギギギ、と首を回せばそこには高瀬選手の姿があって思わず泉くんの後ろに隠れた。
「高瀬、……サン。ちわっす」
「お前確か、西浦の1番?」
「あ、はい!覚えてるんだ…」
「忘れないだろ、俺の野球人生で1番消したくて消せない試合の相手だ。ほんっともうお前らとは顔も合わせたくないね」
「あー、はは。顔怖いっすよ、はは」
「んで?辻川とどういう関係?」
「ああ、こいつ」
「あ!ああああ泉くん!もう時間じゃない!?」
「あっやべ本当だ、じゃあまあな、辻川!」
「うん!また!」
泉くんと元同じ高校、ということを高瀬選手に何となく言うのが嫌だった。だってもし西浦出身ってだけで嫌われるようなことになったら、ショックで立ち直れない。
だけど泉くんが行ってしまったことで私は高瀬選手と2人、残された。
「で?どういう関係?」
「あ、えと……、」
「……………」
「……………」
「まあ言いづらいんならいいや、彼氏?」
「ちが!違います!ありえないです、泉くんに申し訳な」
「あーわかったわかった、首取れるぞ」
「うっ……」
「ふはは、頭振りすぎなんだって」
またそうやって、高瀬選手はわたしの帽子ごと頭を撫でて。0距離高瀬準太に耐性がないから本当にやめて頂きたい。
「つーかまさか今日あいつの応援しないよな」
「しない!です!わたしは高瀬選手を応援しに来てるので!」
「あっそ、それならいいけど」
「今日は先発、ですか?」
「いんや、今日はリリーフ。まあ出番があればって感じだけど」
「そうですか…」
「んな悲しい顔すんなって、俺が出ないのがチーム的にはいいんだからよ」
「……そうですよね、すみません」
「んじゃ、また」
「はいっ頑張ってください!」
「おー」
高瀬選手に直接頑張ってください、なんて言える日が来るなんて3年前のわたしに言ってあげたい。やっぱり同じ大学に入ってよかった、と小走りでスタンドに戻っていった。