ファンと選手
大学野球の全国大会は神宮でやってくれるのでテスト前の時期だったけどレポート等は早々に終わらせてうちの大学が出る大会には全て足を運んだ。そしてついにベスト8まで上り詰め、今日も高瀬選手は先発での出場が決まっている。
そんな中、泉くんが一緒に観に行こうぜと声をかけてくれたので待ち合わせ場所で待っているとーーー。
「おーっす辻川!!元気だったか!?」
「!!田島くん!?」
「よー辻川、たまたま田島も見つけたから連れてきたわ」
「そ、そうなんだ…!」
やばい、絶対高瀬選手に見つからないようにしないといけない理由が出来てしまった。田島くんなんてシンカー打たれたしモーション盗まれたし高瀬選手にとってトラウマ級な相手に決まっている。
「辻川変わんねえなぁ!」
「そ、そう?田島くんも変わらないね」
「おー!」
「田島くんの大学はどうだったの?」
「うちは予選の決勝で負け!次はぜって〜来るぞ神宮!」
「そっかぁ、他の野球部の人たちは?」
「あー花井は3回戦でうちと当たったぜ!花井もレギュラー!」
「えええすごい!」
「三橋はどこだっけ、S大?」
「そーそー!東京行ったの泉と西広だけであとはみーんな埼玉残ったからな!」
「阿部が三橋にくっついてったの意外だったよなぁ」
「でもS大そんな強くねえから多分来年だなぁ、いやぁ俺あいつらと戦うの超楽しみー!!」
他の野球部の子たちの話になってとても楽しそうに2人が喋るからわたしまでニコニコしてしまう。スタンドに入り席につくとマウンドに高瀬選手が現れて思わず癖のように小さく拍手をしていると泉くんに見つかりそういえば、とわたしの方を見ながら話題を振られた。
「高瀬とはどうなの」
「ど、どうなの?とは…」
「お!?高瀬じゃん!すげえ!」
「思ってた以上に仲良さげだったじゃん、この間」
「いや、いやいやいや!全然だよ!そりゃ2、3回くらいお話しさせてもらったけどでもそれだけで!本当高瀬選手は私にとって芸能人的な存在だし」
「あーはいはい、高瀬選手ね」
「辻川、高瀬のこと知ってんの?」
「バカ、こいつ高校野球はうちの応援なんてついでのついででずっと桐青応援してんだよ」
「なにーーっ!?」
「あ、いやでももちろん西浦も応援してたよ!?ただ桐青というか高瀬選手が推し、だから」
「推しぃ!?」
「た、田島くんもいるでしょ?好きなアイドルとか…」
「んーわかんねえけど辻川が高瀬のこと好きだっつーのはわかった!」
「す!好きだけど!なんかその言い方は照れるね、えへへ」
「あ!打った!」
「高瀬打たれた!」
「ひっ、ランナー1塁、お願いっ…」
誰かと見る野球観戦も楽しくて手に汗握る展開が続き、高瀬選手は6回1失点で交代になりチームは最終スコア5:4で無事勝利を収めた。
「いやぁ最後の高瀬のチームの4番やばかったな〜」
「あんれは痺れたなぁ!あとショートな!あれあのダブルプレーすごかったぁ!」
「高瀬選手かっこよかったぁ!」
「高瀬のシンカーまた打ちてえ!」
「や、やだ!もうたぶん田島くんも打てなくなってるよ!」
「ははは!俺だって成長してるからなぁ!」
「てか高瀬のところ行かなくていいの?」
「え?あ、うん!試合見に行くってことも伝えてないし」
「え、そうなの?」
「なぁ泉〜、辻川も一緒に飯行こうぜ!」
「わたしもいいの?」
「もっちろん!」
球場を出ようとした時泉くんにもう一度まじで高瀬んとこいいの?と聞かれたけど大丈夫だよ、と伝えた。そもそも最近はラッキーが続いて高瀬選手と話せていただけでわたし自身は高瀬選手と何か関係があるわけではない。
ただのファンと選手なんだ。