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「ペヤング1つしかねえじゃんオフクロ!」
「じゃ、じゃあ俺いらないっすよ」
「早く帰って自分の家でご飯食べなよ」
「おいみのり、千冬は俺の大切な仲間だ、あんま冷たいこと言うなって」
「圭兄の仲間はマイキーくんたちでしょ?」
「マイキーも千冬も俺の仲間、こいつ勉強してるときのクソだせえ俺にも笑って字教えてくれたんだぜ?それにあれだけの人数を1人で真っ向に喧嘩するなんてバカだろ、俺と一緒だ!」
「バカって…それはないっすよ場地さん…」
「ははは!みのり、救急箱持ってきてくれよ」「………知らない。勝手に探せばいいじゃん!」


みのりはリビングから部屋に入ると鍵を閉めベッドへと沈み込んだ。兄である場地圭介のことは兄妹として好きだった。幼少期跡を追っかけて走って、転んで、決まって私は泣き始めてしまって。すると圭兄は必ず後ろを振り返り走って戻ってくると大丈夫か、泣くな、痛くないぞ、俺の後をちゃんとついてこい、って少しだけ歩調を合わせて歩いてくれる優しい人。
だけど圭兄はマイキーくんと出会って、ドラケンくん、三ツ谷くん、パーくん、一虎くんと仲間になり東京卍會をつくり、少し変わった。家族に内緒事が増えて生傷も増えた。私と遊んでくれる時間は減って、私はいつも圭兄の帰りを1人でジッと待っていた。


寂しかったし怖かった。
大好きな圭兄が死んじゃうんじゃないかって、いつも不安だった。

「俺が死ぬわけねぇだろ?兄ちゃん強えんだぞ?」

帰ってきて手当てをしてあげるのは私の仕事だった。そんな私をぼろぼろの手で撫でてくれるのも兄の仕事だった。










ドンッと扉が叩かれる。きっと兄だと悟ったみのりは寝たふりをして布団に顔を埋める。するともう一度ドンドンと扉が叩かれみのり、と名前を呼ばれる。

「千冬もう帰った、突然来て悪かっただとよ」
「……………」
「同じクラスなんだろ?不良だからって毛嫌いしてやんなよ、……あいつはいいやつだ」
「……………」


その日みのりは一言も喋ることなく眠りについた。