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翌日、千冬がいつも通り学校に行くと自分の席に誰かが座ってる。そしてそれを見てる周りもざわざわし始めていて、誰だ?と疑問に思う前にあいつか、と察し始めるその後ろ姿は紛れもなくみのりだった。
「そこ俺の席」
「………知ってる」
「邪魔」
「………昼休み、西校舎の3階きて」
「は?」
「来ないと圭兄に言うから」
みのりはそれだけ伝えると椅子から立ち自分の席へと戻った。クラス中ドキドキと緊張感が走ったが千冬も何事もなかったかのように静かに席についた。その日のクラスは2人以上に周りが落ち着きなく過ごすことになった。
昼休み。
「遅い」
「同じタイミングで行ったら怪しまれんだろ」
「何が?」
「何がって……、まあいいや。なんだよ、話って。昨日のことなら場地さんに伝えただろ」
「私も場地だけど」
「〜〜お前なんでそんな喧嘩ごしなんだよ!」
「……仕方ないじゃん、だって不良嫌いなんだもん」
「そんなこと言う為に俺のこと呼び出したのかよ」
「っまあそれもそうだけど違くて!圭にいと仲良くすんならこれだけは誓って
「………んだよ」
「絶対圭兄を危険な目に合わせないで」
「危険な目って…お前は知らねえかもしれないけどなぁ、場地さんは半端なく強えんだぞ!」
「でも怪我はするし圭兄の大切な人が傷付けば圭兄の心は痛む。それなら最初から危険な場所にいかないで遊べばいいじゃん、……なんでそれが出来ないの?」
千冬はその時初めてみのりの哀しい目を見た。こいつは兄貴が、家族が好きでただ傷付いてほしくないだけなんだ、ーーそしてその時千冬は思った。場地さんについていくだけじゃない、あの人の盾となり矛になろうと。
「俺が場地さんを守る」
「……そういうことじゃないの」
「ぜってー負けたりしねえって」
「松野」
「あ?」
「圭兄に不良をやめさせて」
その言葉に千冬は何も反応が出来なかった。千冬は場地圭介の喧嘩の強さに感銘を受け、初めて敬語を使って慕いたいと思った人だった為不良をやめさせるなんてしたいとも思わなかった。
しかし今思えばこの時のみのりの言葉を無視した俺が間違いだった。この1年半後には場地さんが死んでしまうなんて思いもしなかったんだ。