2005年、春
2005年、春。
中学に入学をして二度目の春だった。
私は千冬と別のクラスになってしまったけど相変わらずみんなと遊びに行ったり時には2人で遊ぶ時もあった。だけど付き合ったり、そういう話にはならなかった。
「場地さん!俺、場地さんのこと実は1年の頃から見てて、すげえ可愛いなって思ってて…!もし今付き合ってる人がいなかったら付き合ってください!!」
「………ごめんなさい。付き合うことは出来ません」
「……そうですか、わかりました」
2年生になってから告白されることが増えた。1年生の頃は同じクラスに千冬もいたし教室にすら近づけない男子が多くいたらしく、声がかけづらかったと数人に言われた。
私の貴重な昼休みの時間が月に数回削られる、それは結構苦痛でどうにかならないかなぁと頭を悩ませた。
「じゃあ私はこれで、」
「あ、あの!すみません…やっぱどうしても諦めきれなくて、まずは友達からとかどうですか!?」
「……友達?」
「そう!友達!」
「ん〜……でも私やっぱり貴方と友達になっても付き合うことはできないと思う」
何事も曖昧な対応は人を傷付けると教えてくれたのは圭兄だ。私はもう一度ごめんなさい、と謝りそこから立ち去ろうとすると待てよ、と腕を掴まれた。力が強い、いつも千冬は私が痛くないように優しく腕を掴んでいて来れたんだとその時思った。
「いたい、手離して」
「じゃあ友達になってくれない?」
「友達になっても遊ぶ時間とかあなたには割けないよ」
「っ……なんでだよ」
「だって時間は有限だもん、私の使う時間は私が決めたい」
「……じゃあいい、1回セックスさせろよ」
「…は?」
「場地とヤッたって結構自慢になるんだよ、それにお前がセックスでどうなるのか気になる」
「信じられない!無理!離して!」
みのりは腕を解こうと必死に抵抗するも力付くで引っ張られ明らかに先にある人気のいない倉庫連れ込まれそうになる。嫌だ、どうしよう。いつもピンチになる前に圭兄が助けてくれた。みのりは半泣きになりながら腕が取れそうなほどにぶんぶんと振り回していると大人しくしろ、と頬を殴られた。
人に殴られたのは初めてだった。痛くて怖くて、圭兄がいつも作ってくる痛そうな傷はこうやって出来るのかって溢れ出るものが止まらなかった。もうダメかも、と思ったその時。
「テメェ!みのりの手離しやがれ!!!」
「っ……ち、ふゆっ…」
「チッ…松野ォォ!!」
男を殴ろうとするも呆気なく避けられ千冬のストレートが腹にモロヒットして倒れ込んだ。私はようやく自由になり千冬に駆け寄る。
「千冬っ」
「っクラスのやつがお前連れ込まれるところ見たって、……わりぃ、遅くなった」
「っ、ぅ、ぅ〜〜〜」
「……顔……、もしかして殴られた?」
「っ、、」
涙で言葉にならないみのりはコクコクと頷くとやっぱここでちょい待ってろと言い既にのびてる男の顔をガツンと鈍い音を立て殴った。女に手出すとか腐ってんな、と呟きながら最後に蹴り飛ばしてまたみのりの元へと近寄るとみのりは千冬をぎゅっと抱きしめた。千冬は一瞬ビクッと身体に緊張が走ったが直ぐに正気に戻り安心させるように背中をさする。
「保健室行くぞ」
「……っ、ぅん、」
「もう大丈夫だから」
「、う、ん、っ……」
「……歩ける?」
「……おんぶ」
「ガキかよ」
「…け、にぃは、してくれるっも、ん」
「……ん」
千冬はみのりの腕を離し前に屈む。みのりは黙ってその背中に乗っかると千冬は勢いをつけて立ち上がった。ーーなんだ、女ってこんなに軽いのか、そう思いながら歩いていると背中越しに千冬、来てくれてありがとうと言われた。
この時千冬は思った。俺はこいつを、……こいつも、場地さんも身代わりになる覚悟で守るんだと。