2005年、秋


2005年、秋。

「圭兄、……最近マイキーくんたちとは遊ばないの?」
「……ああ、今は遊ばねえ」
「……そっか、また遊ぶよね?」
「……………」
「またみんなで仲良く、出来るよね?」
「……みのり、」
「ん?」
「……あいつらのこと、…千冬のこと、頼むな」
「圭兄!……圭兄、私は圭兄に何をしてあげられる?」
「………みのりが幸せでいてくれたら俺はそれ以上何もいらねえよ」



ハロウィン当日。騒ついた心構え平常に戻ることはなかった。
圭兄がらしくないことを言った。幸せとか、そういうの…聞いたんじゃないのに。だけどこれが私が聞いた圭兄の最期の言葉だった。
























「………え?」

電話があったのは夕ご飯も食べ終わった後のことだった。母はパートに出ていたので私がその電話を取り、その真実を知る。

『場地圭介さんがお亡くなりになりました』



何のドッキリかと思った。
これもマイキーくんやドラケンくんたちが仲直りする為に仕組んだドッキリだって、……そう信じたかったのに。手の震えが止まらなくて、呆然と涙も出なくてただただ身体中の力が抜けていった。


数時間後、家のインターフォンが鳴って、ドンドンと叩かれて、外から千冬の声がした気がした。私は力を振り絞り扉を開けるとそこには千冬がいて、


泣き腫らした千冬の顔を見て、ああ…これはドッキリじゃなかったんだって。圭兄は死んでしまったんだって、悟った。
千冬も家に来て来れたのに何も言えなくて、ただ涙を流しながらごめん、と謝ると膝から崩れ落ちるように玄関に座り込んだ。千冬の涙は、この1年半、圭兄を慕って、寄り添ってくれた全てを物語っていた。

「場地さ、ん、がっ……オレ、が、よええから、……オレが、役立たずで、っ〜〜あんなに、守るっていったくせに、…おれ、」
「………千冬、」
「っごめ、ごめん、……ごめん、」
「……千冬、」


酷く優しい声だった。
顔をあげて、そう言われたけど千冬はもうみのりの顔が見れなかった。
するとみのりは千冬の頬を包み込んで顔をあげ涙でいっぱいのその唇に、キスをした。

「っ、……な、」
「……最期まで、圭兄についていてくれたんだよね?」
「…………っ、」
「圭兄、かっこよかった?」
「、あ、あ…すっっ、げぇ、絶対オレに、はっ…敵わねえ、最初からずっと、…あの人は、かっこよかった、」
「………そっか」
「……みのり、おれ、」
「謝らないで、……謝らないで、」
「っ………」
「………、圭兄に、会いたい」


私はその晩、家族で傷だらけで冷たくなった圭兄に会いに行った。その時になって初めて涙が溢れ出てきて私は圭兄の死を自覚した。

1番かっこよくて1番大好きな兄だった。