2017年、春



2017年、春。

再会しすれ違い気持ちが通じ合ったのに待てをされてから1つの季節が巡ってしまった。2人の関係は未だに「友人」で、なかなかそれ以上に進めなかった。


「ドラケンくん、どう思う〜……」
「いい加減くっつけってそれ以外何も思わない」
「んん……」
「作戦たてっか」
「!さっすがドラケンくん、頼りになる〜!」
「おう、まあ…なんだ、とりあえず乳出しときゃいいんじゃね?」
「………最低」


1年前までドラケンくんに会うのも1年に1度とかだったのにここ最近では千冬の相談などもありちょこちょこ会う機会が増えていた。しかし恋愛自体の経験はそこまで多くない2人が寄ってたかったところで解決策が出てくるわけもなくだらだらと雑談が続くだけだった。

「千冬に嫉妬とかさせりゃいいんじゃね?」
「……嫉妬なんてしないでしょ…」
「そうかぁ?まあ俺とかに対してはしなさそうだし…あ、いぬぴー」
「……何?」
「ちょっとこいつの偽彼氏になってやれよ」
「ちょ、ドラケンくん!あ、あのいぬぴーさん、今のは気にしないで」
「千冬に嫉妬させられたら賞金3万!」
「………分かった」
「えええ!ちょ、いぬぴーさん!?」
「うし、そうと決まれば作戦会議だ!」



とんでもない展開になってしまった。そう思った時には遅く決行は千冬がドラケンくんのお店に来る約束をしてる3日後、2人はデートしてきた設定でうちに来いというものとなった。最近は言ってないけど結構好きって千冬に伝えちゃってるしこんな偽彼氏作戦通用するのかなぁ…と不安になりつつも過去一可愛い格好で来い!と言われたのでその帰り道百貨店に行って可愛い春服を品定める。


そしてあっという間に決戦の日はきた。












「あ、いぬぴーさん!」
「………ん」
「い、いぬぴーさんって思ってたよりもスラッとしてるんですね…モデルさんかと思いました」
「?……みのりちゃんも今日いつもより可愛いね」
「へ?いや…あはは、なんか恥ずかしいですね」
「……うん、慣れない」
「付き合わせちゃってすみません」
「いいよ、ドラケンから金貰えるし」
「あはは…ん〜時間まで少しあるしいぬぴーさんどこか行きたいところありますか?」
「……特には」
「じゃあ少し歩いたところにあるプリンのお店行ってもいい?ずっと食べたいと思ってたの」
「うん」


2人が並んで歩き出すと周りの人は振り返るように2人を見た。何を隠そう、2人は顔やスタイルの良さからとにかく目立ちまくっていた。まるでモデルかのような大迫力の2人に目的地にきていたプリンがおいしいと有名なお店でもざわめきたち1つおまけでプリンがついてきたほど。
みのりはラッキーと思いながら目の前に座りプリンを食べるいぬぴーを見つめた。


「いぬぴーさん、聞いてもいい?」
「ん?」
「その傷ってどうしたの?」
「……小さい頃家が燃えて、その時に」
「……そっか」
「………………」
「いぬぴーさんはドラケンくんと仲良かったの?」
「いや?別に普通」
「そうなんだ、いぬぴーくんも東マンだったの?」
「すごい聞くね」
「え、うん。だっていつも私がドラケンくんと話してても全然話に入ってこないし黙々と作業してるからどういう人なのかなぁって知りたかったから」
「………まあ一応、東マンにいたよ」
「じゃあ不良だ」
「……そうなのかな」
「いぬぴーさん人のこと殴ったりしなさそうなのにね」
「それはどうかな」
「ふふ、殴るんだ」
「ぼっこぼこだよ」
「怖いなぁ」


成り行きの仮デートだったけどつい目的を忘れてしまいそうになる程楽しかった。みのりはドラケンと千冬にお土産としてプリンも購入していよいよ2人がいるであろうバイク屋に向かう途中だった。


「……みのり?」
「……ち、ふゆ」
「……こんなところで何してんだ?」
「ちょ、いぬぴーさん!」
「………それはこっちのセリフっすけど、2人はこんなところで何を?」
「デート」
「は?」
「だから俺とみのりちゃん、デートしてた」

千冬はぴくりと眉根に皺が寄る。そんな不穏な表情を見てみのりはもう本当のことを言いたくなった。本当は貴方に嫉妬させる為にいぬぴーさんに付き合ってもらってます!と言い訳をしたくて堪らなかった。

「あ、あのね千冬、これには深いわけがあって」
「俺のこと好きとか言っといてほいほい男変えんの」
「……え」
「お前が好きなのオレだろ!何やってんだよ!」


そのまま千冬はみのりの腕を掴んで走り出した。どうしよう、ドラケンくん。効果は抜群のようです。