完
「圭兄、きたよ」
桜吹雪が舞い散り場地が眠るそこは花びらがたくさん散らばっていた。2人でお墓を綺麗に清めてからゆっくりと腰を下ろす。
「場地さん、秋ぶりっすね」
「……ふふ」
「…んだよ」
「ううん、いつもそうして圭兄に話しかけてるのかなぁって思ったらつい」
「……みんなそうだろ、場地さんはここにいんだから」
「……そうだね」
千冬のさりげない一言にみのりは嬉しさが増す。いつも1人で来ていたお墓参り、そっか、みんなもこうして圭兄と話をしていたんだ。
「圭兄、わたし千冬と付き合うことになった」
「あっ俺が言おうと思って、」
「12年も掛かっちゃった。だってね、千冬ったら圭兄がそっちにいってから私のことずっと避けてて、同じ学校通ってた時もドラケンくんが呼んでくれる飲み会のときも私がいるって分かると来なくなるんだって。ひどくない?」
「………ば、場地さん!俺の言い分も聞いてください!俺は、」
「私の番!」
「は、」
「でもね、圭兄言ったでしょ?みんなのこと、千冬のこと頼むって。みのりが幸せなら何もいらないって。だから私、いつかこんな日が来るんじゃないかって思って夢見てた。そしたら本当に来ちゃった、……言ったら最後までとことんやれってよく言ってたよね。圭兄、……私いま、すごく幸せだよ。だからそっちで笑ってくれるかなあ?」
ここで泣いたのは初めてかもしれない。自分が泣いたらきっと圭兄に心配を掛けてしまうと思っていつもここでは笑っていた。だけどどうしてかあの頃のように隣に千冬がいる今この瞬間、走馬灯のように圭兄と笑い合った楽しい日々が脳内によぎり流れる涙が止まらなかった。
千冬はみのりの頭を撫で自分の方へと引き寄せると場地さん、とそこに声を掛ける。
「俺、すげぇ遠回りしちゃってすみませんでした。勝手にみのりの幸せは俺以外の誰かといることだって決めつけて、…避けた時期もあったんすけど俺はずっとこいつのことが好きでした。だから…その、これから先は2人で幸せになろうと思うんで、俺にみのりのこと任せてください」
「っ………」
「……っし、帰るか」
「うんっ、圭兄、また来るからね!」
次からは、2人で。
fin.