3
翌朝、起きると彼の姿はもうそこにはなかった。
「うん、多分何も盗まれてない……」
一通り部屋を回ると特に家が荒らされた痕跡も無く、夢だったのかとも思ったけど彼が食べたご飯の器と彼が使ったTシャツとスウェットが乱雑に置きっぱなしになっているのを見るとああ、夢じゃなかったんだと思わせる。
昨日の夜、あの後わたしは結局うまく涙を止めることが出来なくて泣きっぱなしの私に引いたのか意味もなく泣くやつも俺嫌いだわ〜って言いながら勝手に私の寝室に入ってベッドを占領して眠りについてしまったようであれから一度も話すことなく、また恐れていた色んな意味でめちゃくちゃにされることもなく、ただ姿を消してしまった。
もう会うこともないだろうけど名前も知らない彼は私の人生に最大なインパクトを残していった。
「ま、もう関係ない、関係ない」
私は唯一の2日間の休日を有意義に過ごす為に洗濯物を回し布団を干す。買い物も行って食材の補充しないとなぁ…明日は一歩も家から出たくないからいつもは買わないけどお菓子も買って食べながらだらだらしよう。
そう決めてスーパーに行く頃にはもう夕方になっていて慌てて買い出しに向かった。
買う予定はなかったプリンも買っちゃった。昨日のおつまみもあるし今日こそはいい夜になる。そう思っていたのに。
「来ちゃった」
昨日振りに彼はまたうちの前にやってきた。