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「ね、やめよ、一虎くん」
「いいじゃん、みのりも相手いないんだろ?お互いそろそろ溜まる頃だろ」
「たっ…何も溜まらないよ!や、いたいっ」
ご飯を食べ終わりあの話はなかったかのように途中までいたはずなのにお互いお風呂から出るや否や腕を引っ張られベッドへと連れ込まれる。年齢差があっても身長は10cm以上違うし何より力で叶うはずがない。押し倒されて視界のいっぱいが天井と一虎くんで埋め尽くされ顔が近づいてきた瞬間、キスされると思って咄嗟に腕で顔を隠した。
すると分かりやすいくらい大きな音で舌打ちが聞こえたのも束の間、一虎くんは私のTシャツの中に躊躇無く手を入れた。私はびっくりしすぎて思わず手で力いっぱい阻止する。
「やだっかずとらくん、おねがいっ」
「みのり着痩せするのな、俺おっぱいでかい方が好きだからこれなら余裕で勃ちそう」
「いや、おねがいやめて、」
「なんで?いいじゃん、なぁ女って30代が1番性欲高いらしいよ。みのりアラサーじゃん、10代のしかもこんなイケメンに抱かれる機会ってこの先あるかわかんねえだろ?流れに身を任せろって。今明らかにそういう雰囲気………って、おい。お前……また泣いてんの」
まじかよ、なんて呆れてため息を吐いた彼を気に留める余裕なんて私にはなかった。ただただ怖かった。全身がガクガク震え初めているのを感じて息もままならない。
「みのり?おい、みのり!」
「ハァ、ハァッ」
「息!吐くだけじゃなくて吸うんだろ!バカお前息の吸い方忘れてどう生きんだよ!人間1日目かよ!落ち着け!」
息ってどうやって吸うんだっけ。ああ、これ知ってる。中学生の頃、同級生のサリナちゃんがマラソンの後になってた過呼吸ってやつだ。サリナちゃん、とても苦しそうで死んじゃうんじゃないかってすごく怖くなったのを思い出した。
「みのり!あーーもうクソ!めんどくせぇな!」
死ぬのかな、ああ、こんなことならお父さんとお母さんに口座番号教えておくんだったな。あ、でも通帳があれば大丈夫か。あとは来月式に行く予定だった高校の友達にも迷惑をかけることになっちゃったな。申し訳ない。
気が付いたら意識を失っていて、焦る一虎くんの声だけがやたらと耳に残っていた。