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「みのり?」

目を覚ますとわたしは見慣れた部屋のベッドにいてその横には一虎くんが椅子に座っていた。視界に入った一虎くんはわたしを心配してくれていたようで普段の表情よりもだいぶ余裕が無さそうな顔をしていた。
そっか、あの時わたし気を失っちゃったのか、……25歳のくせしてえっちするのに怖気付いて気を失うとか誰にもいえない黒歴史になってしまったのではないだろうかと頭を抱えた。

「お前急に息が上がってバカみたいに呼吸下手になって気い失ったんだよ。本当バカ、バーカバーカ!」
「いたっ、ご、ごめん…」
「まじで聞いたことねえし!お前そんなセックス命がけでしてんのかよ!意味わかんねえな!つーかそうなら最初から言え!」
「……………」
「あーーもうクソ、無駄に焦ったわ」

一虎くんはボスンとわたしの足元あたりにうつ伏せになって寝転んだ。彼にされたデコピンが地味にまだヒリヒリする。でも、少し嬉しかった。一虎くんのことだからこんなめんどくさい女、ほっとくか心配なんてしないと思ってたから……。
やっぱり彼は100%悪人ではない、んだと思う。


「……一虎くん」
「あー?」
「ごめんね、……心配してくれてありがとう」
「別にしてねえし。……でももう手出さねえよ、別に発散したくてみのりに手出したんじゃねえし」
「……どういうこと?」
「……まあ、興味本位?俺処女って抱いたことねえし」
「………だから処女じゃ」
「もういいって。あんな体硬直させて全身震え上がってる小鹿みてえな姿他の女で見たことねえからテメェがなんと言おうと俺の中でみのりはセックスとは無縁な処女認定」
「…………」
「ま、俺は溜まったら他の女のところで発散してくるからさ、安心しろよ」




ズキッ。
ズキッ?あれ、おかしいな。なんでこんな気持ちになっているんだろう。別に一虎くんが他の人のところに行っても、うちに戻って来なくなってもこれまで通りに戻るだけなのに。それをなんでわたしーーー嫌だな、とか思っちゃってるんだろう。


「ま、飯がまずかったらみのりのところ戻ってくっから!じゃあ俺は中途半端にお前のおっぱい揉んでセックスモードになってっからで出てくわ。じゃーな」
「か、一虎くん!」
「あ?」

待って、行かないで。
こんなことを言ってしまったらわたしは更に彼にとってめんどくさい女認定されてしまうんだろうか。


「……ありがとう、わたしは、楽しかった」
「………何言ってんだお前」
「一虎くんといた1ヶ月、わたしは楽しかったよ」
「………バカじゃねえの」


そう言って彼はわたしの前から姿を消した。