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「俺もうみのりには手出さないって誓うからさ、ここに居させろよ」


昨日の残り物だったけど一虎くんは美味しそうにご飯を食べ終わった後真剣な顔をしてそう言った。どうしてうちを選んでくれたんだろう。一虎くんなら行く宛なんていくらでもあるはずなのに……と思っているとねえよ、心の声が漏れてしまったのか一虎くんが自傷的な笑みを溢しながらまた口を開いた。

「みんな自分勝手だ。あれやれこれやれ、思い通りにならなかったらポイ、見返りがなけりゃポイ。俺はテメェの為に生きてるんじゃねえっつーんだ」
「……一虎くんは、人を嫌いなのに人と居ようするんだね」
「………俺さ、昔はずっとどうせ1人になるなら最初から1人でいた方がいいって、仲間なんて作んねえ方がいいって思ってたんだ。けど初めて仲間作ってあいつらとバカやって、正直すげぇ楽しかった。だけどまあいろいろあって俺はまた1人だ。あの頃の仲間が1人、俺の元に来てくれたけどどうせ俺よりマイキーの方が大切に違いないんだ。だから俺は、俺はマイキーを、」
「一虎くん」


目の前の一虎くんが、わたしの知ってる一虎くんでなくなってしまいそうで怖くて、もうそれ以上何も聞きたくなくて私は力一杯彼をギュッと抱きしめた。まるで子供をあやすかのように頭を優しく撫でながら、大丈夫、大丈夫、と囁くと彼は気持ちが落ち着いてきたのかギュッとわたしの服の裾を握った。


「一虎くんがいたいって思うまでここにいていいよ」
「………うん」
「その…シたりするのは、出来ないけど…ご飯作ってわたしのベッド、使わせてあげるから」
「それだけでいい」
「あと実はトリートメントをね」
「みのり、」
「……ん?」
「お前はこのままでいてくれ」


一虎くんはそれだけ言うとわたしの首に顔を埋めて中々動くことはなかった。