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世の中にハロウィンの装飾やカボチャのお菓子が増えていく10月も後半に入ったところ。今日は金曜日だしご飯を食べ終わったらカボチャのプリンを食べたいなぁ、一虎くんもきっと喜ぶだろう。
「最近また楽しそうだね、調子戻ってきた?」
「え?あ、はい、……猫が、家に戻ってきまして…」
「え!猫飼ってたの!?てか猫居なくなってたんじゃそりゃあ暗くもなるよね〜見つかってよかったね」
「……はい」
今度猫の写真見せてね〜お疲れ〜、と先輩と駅で別れる。最寄駅に着くと直ぐにスーパーに行って早歩きで家に帰ると部屋からはテレビの音が漏れる。
「ただいま」
「おー今日飯何?」
「今日はカボチャの煮付けと鶏肉のみぞれ煮にしようと思ってるよ」
「旨そうかよ!やべえ!」
「直ぐ準備するね」
「おーたのしみ〜〜」
今日の一虎くんはなんだか機嫌が良さそうだった。キッチンに立ちながら何かいいことあった?とまるで会社の人に聞かれたようにわたしも一虎くんに問う。すると彼はくるりとこっちを向いてニヤリと笑った。
「もうすぐけりがつくんだ」
「けり?それはいいことなんだ?」
「いいことだね」
「そっか、じゃあよかったね」
「みのり、今年はいいハロウィンになるぜ」
その時わたしはこの言葉の意味を深く考えてなかった。まさかこれが世間のニュースを騒がすことになるだなんて。
「ごちそうさま!旨かった!」
「よかった、あ、プリン買ってきたんだよ、食べる?」
「まじ!?食べる食べる!」
「一虎くん、好き嫌いなくて本当に助かるよ〜」
「いや嫌いなもの多いけど」
「え」
「トマトとしいたけはまじで無理、ぶよぶよするし」
「……この前のグラタンにしいたけ入ってたよ?」
「え、まじで?」
「うん……」
「ぶよぶよ無かったから嘘だな」
「刻んでたから…」
「……刻んでりゃ食べれんだな、俺。ガキの頃さ〜まじでしいたけ無理で食べたくねーっつってんのに親が口に無理矢理突っ込んでくんだよ。あいつら俺が嫌いなのを知っててわざと出すんだぜ?性格悪すぎるよな」
「……たしかに、無理矢理はよくないよね」
「でも俺食べれんのか〜しいたけ、……はは、すげえな、みのり。お前まじでいい嫁になると思うよ」
「は、」
「ま、あと10年経っても貰い手居なかったら25歳の俺がもらってやっから安心しろよ!」
一虎くんは笑いながらそう言ってわたしの頭をガシガシと雑に撫でた。暖かくてまだ大きすぎない思春期の手だった。