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「辻川みのりです、よろしくお願いします」

ざわざわとする教室。

何でこのタイミング?夜逃げかな。結構可愛くね?いや地味だろ。声かける?えーでもいつメンだけでよくない?


「じゃあ辻川は1番後ろの席ね」
「はい」


もう転校はないと親に言われたけどそこまで期待も出来ないしここでも友達は作らないで1人でいいや、と俯きながら席に向かう。隣は空席、誰かはいるっぽいけど今日はいないようだった。

そこから空気のように席に座った。恐る恐る休憩時間に話しかけてきてくれた子たちもいたけど、移動時間もお昼休みも私は特に誰かに声をかけることもなく1人で過ごした。それが楽だった。








放課後。

「なんだろ…」


何やら体育館の周りをギャラリーがわらわらとしている。気にはなったけどまあいいか、とそのまま帰ることにした。

まさか中で乱闘が行われ、会いたかった宮城リョータがボコボコにされているとは夢にまで思わなかった。




翌日。

「え」
「は」
「りょ、ちん…?」
「……みのり、だよな?」
「嘘っなんで…!?」
「いやこっちのセリフだけど、え、いつから?」
「昨日!え、りょーちんだ、なにこの髪!」
「あっくそおい触るなセットしてんだから!」
「会いたかったよぉ」
「っ〜〜お前ッひっつくな!」


記憶の中のりょーちんより少しだけ大きくなって、顔付きも男の子っぽくなって、声も低くなっていたけど匂いはりょーちんのままだった。私は腰回りにギュッと抱き付くと離れろと肩を押されるけどその力は本気ではなく優しさを感じる。たまらなく嬉しくなってしまったけどこの後私たちはクラスメイトに見られて『転校生が宮城とデキた』『宮城が脅したか?』『いや転校生が迫った…?』といろんな噂を流されるのは早かった。