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「りょーちん、バスケまだやってるの?」
「当たり前じゃん」
「そっかぁ、あんちゃんは?元気?」
「おー」
「そっかぁ、どの辺住んでるの?」
「お前なぁ、さっきから質問攻めしすぎ」


昼休み。私はりょーちんの手を引っ張って屋上に来た。前の学校から屋上は私の逃げ道だった。だけど今はりょーちんがいる。逃げ道ではなくて、2人だけの居場所のように思えた。


「だってまだ信じられないんだもん、本物だよね?」
「当たり前だろ」
「ずっと会いたかったんだぁ、りょーちんとあんちゃんと、………ソーちゃん」
「…………みのり、」
「去年沖縄行ったの。みんなに会いに」
「……………」
「そこで教えてもらった、ソーちゃんのこと」
「………おー」
「……生きてればまた会える、って本当だったね、りょーちん」
「………ん」
「りょーちんにはまた会えた、ソーちゃんもきっといつかまた会えるよね」
「……ああ」


そこからまた時間が許すまでりょーちんといろんな話をした。ソーちゃんのこと、バスケを辞めようとしたこと、事故にあって生死を彷徨ったこと、またバスケを始めるようになったこと、殴り合いの喧嘩をしたこと……。チャイムが鳴ったことに気がついた時には2人で階段を走って教室に滑り込んで、2人で笑った。

私の学校生活は今こうしてりょーちんと楽しく過ごす為にこれまでつまらなかったんだと思うと日々がキラキラして授業が始まってすぐ寝てしまうりょーちんを見るのも愛おしかった。


そう、私は昔からりょーちんのことが大好きだった。初恋だった。


ソーちゃんにはリョータもみのりのこと大好きだからよろしくな、と前から言われていたっけ。それは本当だったのかな、私は昔から、ーーー今もずっとりょーちんのことが。



「ちょっとリョータ、あんた寝過ぎるのもいい加減にしなよ」
「あっアヤちゃん!ごめん俺…」
「辻川さん、こいつ授業中寝てたら叩き起こしてくれる?あ、私バスケ部のマネージャーなんだけどみんなに彩子って呼ばれてるからそう呼んで?」
「彩子、ちゃん」
「アヤちゃん俺は寝てたんじゃなくてやる気を溜め込んでいたから目を閉じていただけでね」
「あーはいはい、赤木先輩も言ってたでしょ?学業もしっかりって」
「うっ…わかった、よ」


あれ、なんだろうこのもやもやした気持ち。
彩子ちゃんとりょーちん、仲良いんだな。というかりょーちん、なんかデレデレしちゃって、私の前ではしないような表情と態度して、……そんな、彩子ちゃんのことがまるで好きみたいな。


そうか、りょーちんは彩子ちゃんが好きなんだ。そう思った瞬間頭がさーっと真っ白になっていくのを感じた。

当たり前だけどりょーちんにも私がいない時間を過ごしてきている。沢山苦しいこともあったけど、同じように楽しいこともあったはずだ。そこに私はいなかったんだ。

今更りょーちんが好き、だなんて、私だけがあのころから時が止まってるなんて。ーーー前に進んでるりょーちんの邪魔をしてはいけないから、わたしのこの気持ちはしまっておこう。


そう思った。