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「な、いてい…?え、あ、いえ!ありがとうございます!はいっ、はいっ、ぜひ何卒宜しくお願い致します!明日ですね、伺わせていただきます!はい!」
朗報が入った。そう、ようやく正社員としての職場を見つけることが出来た私は内定先からの電話に興奮気味で切るとよっしゃあ、と思わず大きな声を出してガッツポーズをした。念願の正社員、一般事務、月に20万円の固定給。これでようやく家も借りやすく審査も通るはず。
浮足立つ気持ちになるのはいつ振りだろうか。とにかくこの状況を誰かに共有したくて高校の同級生に連絡を取った。
「もしもし、あ、ごめんね今大丈夫!?」
『休憩中だから平気だけどどうしたの?テンション高くない?』
「あのねえ!就職が決まったの!!」
『え?あんたもう東京で働いてるんじゃなかった?』
「あ、あーいろいろあってずっとバイトで繋いでたんだけどね、今日決まったのお!」
『いや色々気になるけどひとまずおめでとう?』
「ありがとう〜!」
そういえばここ数か月、自分の情けないエピソードを人に話したくない一心で自分の話を他人にしていなかったことに気が付いた私はあれよあれよと友達に詳しく聞かれ、何となく自分の状況を簡単に説明すると凄く吃驚した声で名前を呼ばれた。
『じゃあ何!?今セフレと半同棲みたいになってるってこと?!もはやそれあんたセフレじゃないんじゃない?付き合ってるでしょ?』
「つ、付き合ってないよ……彼にそういうこと言われたことないし…そもそも会話もなくて、」
『でも毎日家に帰ってくるんでしょ?』
「う、うん……」
『はあ〜全然理解できない。東京怖いわ』
「あ、でも本当に酷いことされたりはしてないし、その…私も助けてもらった身だから、仕方ないというか……」
『それでいいの?』
「へ?」
『みのりは好きじゃないの?』
爆豪くんを、好き……。
そういう対象で彼のことを見たことが無かった。
「彼は、私のこと嫌いだから……」
『彼のことなんて知らないよ。あんたは?』
「……同じ、だよ。私も……彼のこと、」
ガチャ、と扉が開く音がして私は思わず電話を切って後ろを振り返ると爆豪くんが無表情で私を見ていた。いつから帰ってたんだろう、……会話、聞かれていたら嫌な気分になったかもしれない。
「あ、お、おかえりなさいっ、今日は早い、ね」
「・・・・・・」
「ごめんなさい、まだ夜ご飯の支度してなくて、」
「こい」
「え?っうわ、ま、って」
手首をぐっと掴まれるとそのままずるずると寝室に連れ込まれ、ベッドに放り込まれたと思えばそのまま爆豪くんが覆いかぶさる。下から見る爆豪くんは赤い瞳を揺らして下唇を噛んでいた。どうしたのか、そう聞こうと思ったらそのまま唇を奪われて言葉を発することは無かった。ただ漏れるのは私のいいところを全て知っている爆豪くんによってあばかれる甘い快楽に酔いしれた声だけ。
そのままされるがままに私たちは身体を繋げた。いつもなら多くても2回で終わるのに対してその日は5回も連続でされた私は初めてベッドから動くことが出来ない状況となり、その日は夕食を作ることは愚か寝床であるソファに移動することすらままならなかった。そして気が付けば朝を迎え、家主である彼の姿はそこには無く虚しさに涙が流れた。
私は爆豪くんのことを、好きじゃない。彼と私は、ただの家主と居候の性欲処理機だ。