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「ただいまぁ…」
「おう」

爆豪くんとの新生活が始まって2ヶ月が経ったけど、いくつか変わったことがある。
まず朝はおはよう、におはようが返ってくるようになったしいってらっしゃい、にいってくるが返ってくるようになった。夜はただいま、に返事があるしおかえりなさい、にも照れ臭いのかただいまはさすがにないけどおうとかあーうんとか、そういう言葉が返ってきた。それだけで私はとっても嬉しくなっちゃうんだから安い女だなって思う。

「ご飯遅くなっちゃってごめ、…え!?爆豪くん作ってくれたの!?」
「ヒーローが暇な世の中で感謝するんだな」
「うんっ感謝する!わああ、すっごい美味しそう!」
「手洗ってこいや」
「はい!」

出版会社に勤めた時から何となく残業の心配はしていたけど、すっかり社畜となった私は帰る時間が21時を越えるのが普通になってきて、そうすると先に帰ってきていると爆豪くんが夜ご飯を作ってくれることが結構ある。それに料理もすっごく上手で、正直私なんかよりずっと美味しいもののレパートリーが多いから私が作る日のご飯は本当に申し訳なくなる。そういえば美味しいか聞いたことないな…今度聞いてみようかな、と思いながら私は手を洗いリビングに戻る。

「いただきますっ」
「おう」
「〜〜ん〜!美味しい!この餃子、何が入ってるの!?」
「キムチ」
「ええ!すごいっ美味しい〜青椒肉絲もクックパットじゃない味がする!」
「たりめーだろ、味付け全部してるわ」
「ええ…すごい……」
「普通だろ、こんなの」
「普通じゃないよ…才能マンすぎる…」
「お前仕事もう少し早く終わんねえのかよ」
「あー…ね。私は事務員だから自分の仕事は定時で終わるんだけど、編集部の人から声かけられちゃって、帰れないんだぁ」
「……文句言いに行くか?」

いい!やめて!と餃子を口いっぱい頬張りながら拒否すると爆豪くんはむっと口を結んだ。でもそうだよね、いつまでも爆豪くんに甘えてばかりではきっとだめだ。

「来週、言ってみるね」
「……おー」
「爆豪くん、明日はお休みなの?」
「緊急が入らなきゃな」
「……そっか、へへ、そっかぁ」
「…ニヤニヤしてんなはよ食べろや」

もともと一緒に暮らしている時もお互いの生活はほとんど被ることが無かったけど、私が正規の仕事に着いたらそれは更に増した。最近では朝ご飯もバラバラになりつつあるのだ。
そして何よりお互いの気持ちが分かってから私はたちは夜を共にしてなかった。もともとソファベッドになるタイプのソファだったので寝床は変えていないし、爆豪くんからのお誘いもない。少なくても2ヶ月間手を出されなかったことはこれまでなかったので、多少なりとも不安になる。でも明日はお互いに休み。これとないチャンス…!

「美味しかったです!ごちそうさまでした!」
「ん。風呂も準備終わってっから行ってこい」
「ひえ…すごい待遇……ありがとうっ」
「普通だわ」

隅々まで洗って、可愛い下着付けて、おろしたての部屋着きて、いざ勝負!