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「ガキ連れてさっさと逃げろや」
「あっ、は、はいっ」
「ダイナマイト!すげぇ〜!」
「かっこい〜!」
「ダイナマイト…ありがと……」
「……っせーわ、俺の名前は大爆殺神ダイナマイト様だ、正式名称ちゃんと覚えておけガキども」
「だいばく?」
「さっしん?」
「ダイナマイト〜!!」
「っだーーいいからもうあっち行け!おい女、ガキの手離すんじゃねえぞ」
「はいっ!あの、本当にありがとう!ダイナマイトがだいすきです!」
「は?」
「おれも!」
「かなも〜!!」
「ぼくも!」
「ね〜、みんなダイナマイトだいすきだよね〜!じゃあダイナマイトはまだまだお仕事するんだって!みんな邪魔しちゃだめだからあっち行こうね!」
「うん!ばいばい、ダイナマイト!」
「ばいばーい!」
「……おう、じゃあな」
ダイナマイトはヴィランに捕まったかなちゃんの頭を撫でメディアで見たことないような優しい顔をしていた。ぶわっと心がざわつく。どうしよう、どうしようっ…すっごい好きだと思ってしまった。
その後無事保育園に戻れたわたしたちは心配されて来ていた親御さんに子供たちを明け渡し明日は臨時休園ということでわたしたちもその日は早く帰ることになった。
正直恐怖よりダイナマイトに会えたということが頭に残っているわたしは浮き立つ気持ちであみちゃんに電話を掛けた。
「あみちゃん!?今大丈夫!?」
『大丈夫よ〜それよりみのりの職場、●区だったよね?ヴィラン出たって平気だったの?』
「それがねっ!ダイナマイトが来てくれたの!!」
『……はーん、なるほど。だから電話して来たのか』
「ねえわたしダイナマイトのこと超好き…本当にかっこよかったし、強くて美しくて…もうほんとすごかった……どうしよう……」
『どうしようって、……え、もしかして恋愛的な?』
「う〜〜すきかもっ、もう一生片思いで生きててもいいくらいダイナマイトが好き…だってね!あんなに口も悪いのに子供にめちゃくちゃ優しかったの!そういうところもキュンッて来ちゃった…はぁ〜〜」
『……めずらし、みのり今日は?今仕事終わったの?』
「え?あ、うん終わったよ!」
『じゃあ飲み行かない?』
「あ〜……親御さんに絶対に見つからない場所なら……」
『大丈夫大丈夫、▲区の個室の会員制バーだから』
「うん、ちょっと昼間怖いこともあって1人になりたくなかったから行きたい!」
『オッケーじゃあ決まり!ちなみに確実にもう1人はいるけどいい?私の知り合いで悪いやつではないから』
「えっ誰だろう?でも人数多い方が楽しいもんね、じゃあわたし着替えてから行くね。場所後でLINEして?」
『オッケー!じゃあまた!』
わたしは電話を切った後に出勤スタイルからお出かけスタイルに変える。一つ結びにしていた髪型を下ろし軽く巻いて洋服も職場には着ていけない膝丈のスカートに緩いニットを着る。ダイナマイトにハマってから買ったのでニットは淡いオレンジ色だ。
あみちゃんから連絡のきた場所を調べて最寄駅まで向かうと【先に入ってるよ〜連れもいる】と連絡があった。会員制のバーなんて初めて来たからドキドキしながら入るとカウンターがいくつかと個室になっていて、案内された扉の前に立つ。バーテンダーのお兄さんが扉を開いてくれて中に入るとあみちゃんと、なんとあのセロファンがいた。
「えっ!?」
「どうも〜、みのりちゃん?」
「そう、可愛いでしょ」
「女の可愛いは信じてなかったけどまじだったわ〜あ、入って入って?」
「あ、え、っと、」
「みのり〜そんな範太なんかに感動しなくていいから」
「お前なぁ、あーヒーロー好きなんだっけ?でも俺そんな大層なことしてないし軽い感じで、」
「セロファンは!!東京タワーの大規模停電の際、なかなか電通が直らなくてお年寄りから優先的に救出活動してくれたり!雪山のスキー場でリフトが止まった時も一人一人救出してくれたり!大層なことされてます!!本当に国民の為にたくさんありがとうございます!!」
「……俺泣いていい?」
「キモいからやめて」
「セロファンは自在に操れるテープも魅力的ですけど、それを支える体幹がないとでき得ないと思いますし学生時代の印象でドンマイコールなんてあるけどそれも愛敬になってみんなに愛されてますし、何より親しみやすさから助けられた人は多いと思いますっ!」
「待ってこの子何?金で買われた俺をヨイショする機械?」
「みのり、もういいから。この重度のヒーローオタクだからあんた以外もこれ以上に褒めるよ。ほら、何飲む?明日も仕事だから軽め?」
「えー……セロファン、握手してください……応援してます…」
「……なんかありがとね、みのりちゃんのこと、俺一生守るわ」
「うっ…みなちゃん……!」
「はいはい、飲み物は?」
「ハイボール……あと明日はお仕事休みです…」
「あら珍しい、やっぱ被害あったの?」
「うん…少し、」
「言われてみればここ、怪我してるね。大丈夫?」
「え、何何なんかあったの?」
「あの昼間の▲区の事件、みのり職場近かったのよ。怖かったね」
「……っぅ〜みなちゃんんんん、怖かったよぉぉっ、本当は園児たち、わたしが守れるなんて自信全然なくて、ヴィランも怖くて、かなちゃん連れて行かれちゃうって……わたしが手を離しちゃったから、っぅ〜〜」
「情緒がすげぇな。みのりちゃん大丈夫だよ〜結果として守れたんでしょ?じゃあすごいじゃん先生真っ当して偉いわ」
「うっ……でもわたしは、だめだめ先生ですぅぅ〜〜あの時ダイナマイトが来てくれなかったら本当にっ……う〜〜ダイナマイト〜〜」
「はーん……それで」
「そういうこと」
「……?」
「ダイナマイト助けてくれてよかったね、まああいつ顔は怖いけど超ヒーロー向きだからさ。根はいいやつだし」
「うんっうんっ!わたしにとっての最高のヒーローはダイナマイ…」
「……っせーな、おいしょうゆ、とこれはどういうことだ?」
へ?