10
そもそもしょうゆから爆豪ああいう系統の女子好きだろと言われた時点で微妙に当てられたことに腹が立ってた。なのにあいつは好きだと言った俺のことを忘れるとか変なことばかり言いやがって余計に腹立つ。
絶対次会ったら言いくるめる、そう思って最後にあったあの日から数週間イライラと悶々として気持ちで敵と戦いその日タクシーが捕まらなかったから電車で帰ろうと改札に向かおうとしてた時あいつが遠くに見えた。見間違いじゃない、俺がそんなヘマするわけがない。だけどあいつは一瞬目が合うとびっくりした顔をしてから振り返ってホームへと向かおうとしていた。
「(ハァ?……ざけんな)」
あいつ、俺のこと好きだっつーわりにこういう時本当に避けるよなぁ。イライラしながら絶対見失うものかとそちらへと足早に向かい歩くのが遅いそいつの鞄をぐいっと引っ張るとえ!?と困惑したような声がすると同時に今度こそ近距離でしっかり目が合った。
くそ、なんだこいつ。よく見りゃ前に会った時と別人じゃねえか。前はしっかり外行きの格好をしていたのか今日は気の抜けた姿だった。仕事は保育士と言っていたが、それから察するに適した服を着てんだろうけど適当な服にちょっとぼろっとしたひとつ結びという前回とのギャップにまたグッと掴まれるのが悔しい。
「おい、仕事終わりだろ?この後時間あんなら来い」
「……は、い……?」
その後強引に行きつけの焼肉屋に連れて行くと挙動不審な態度で何度もバックの中を確認して(多分財布の中見て金の計算でもしてんだろ)るところ見てつい笑ってしまわないようにするのに必死だ。しかし肉が届き食べ始めるや否や大袈裟なくらいに美味しい美味しいと言う。
俺は飯を美味いと言いながら食うやつが男でも女でも好きだ。こいつもそのタイプか、つーか実は好きなタイプとか知ってて立ち振る舞ってんじゃねえのか?と思ったがそんな話外部にしたことがないし恐らく計算ではなく天然のものだろうと思う。だけどデクみたいにぶつぶつとナードみてえなところはうぜぇからやめてほしい。
お店を出るや否や財布を出そうとするわ連絡先は教えようとしないわで前途多難だ、俺にできねえことはねえのに。いや、そうだ。出来ないことなんてない。
「おい行くぞ」
「えっどこへ…?」
「うち」
そう言えば大きい目は2、3度瞬きをしてその数秒後にええええ!と大きい声で叫び始めた。まじでうぜえな。つーかこれ以上騒がれても面倒だと思いおれはこいつを横に抱えて本来業務外では使わない約束だが緊急事態でもあるしと思い爆破でスピードを加速させる。家までは後2分ちょっとというところか。
「ひええええ!こ、こわ!え!こ、これ!えー!!」
「だぁぁぁ!っせーなてめぇわ!」
「だ、だって!ダイナマイト!個性!えーーー!!!やばい!!!!嘘みたい!!!!これが大爆殺神ダイナマイトの個性!!きゃーーーー!!!!!」
「騒いでんじゃねえ!俺が誘拐犯みたいに見えるだろうが!」
「内容的にはあってますが!う、うーーすごいっ……あ、案外爆破暑すぎないんですね……なんでだろ……えーーすごい、どうしよっムービー撮りたいっすごい〜〜〜!!」
俺は本当にこいつのこといいと思ってんのか改めて考えさせるほどウザくて仕方なかった。でも今日1番キラキラしてる顔を見ると不思議と悪い気はしなかった。