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流されるように浴室に連れて行かれた。お風呂に入ってる間、生きてる心地がしなかった。

「俺に抱かれる為に風呂入れって…なにそれ……なにそれ〜〜〜っっ」

そんなこと異性に言われたことないしこんなセリフが決まる人がこの世にいるなんて凄すぎる……かっこよすぎてだめでしょ……。わたしは浴槽の中でバタバタと動いて先ほどの爆豪さんを思い返す。いや、かっこよすぎてだめでしょ……。
私は隅々まで身を清めお風呂から出ると用意された洋服を着させてもらう。ヒーロースーツを着ているとウエスト細いなとかレッドライオッドといると細マッチョなのかなとかそんなこと思ってたけど洋服を着ると改めて体格差を感じる。ぶかぶかすぎてまるで子供のようだ。

「でまし、たっ」
「……おー」
「あ、あのドライヤーって」
「そこ」
「お、お借りしますっ」

妙な緊張感。そういえば最後にこういう流れになったのはいつ振りだろう…もともとヒーローオタクが忙しくて彼氏が出来ることもあまりなくて、男性経験も一度しかない。わたし、爆豪さんを満足してあげられるのかな…、ただ不安が募る。
ていうか…わたし……大爆殺神ダイナマイト……と、いや、爆豪さんだけど、ヒーロースーツを着れば大爆殺神ダイナマイトなわけで…そんな人に抱かれるって……まじか。一体世の中の何人の女性が夢見てることか。

「……命日?」
「あ?なんか言ったかよ」
「いえ!なにも!」
「……出来たんならベッドいくぞ」
「はっはいっ!」

ドライヤーをコンセントから抜いてテーブルの上に置き、爆豪さんの後ろをついていく。心臓の音が煩い。
寝室に連れ込まれるや否や爆豪さんに手を引かれてベッドに押し倒される。見えるのは真っ白な天井と綺麗な、大好きな顔。ゆっくりと近づくそのギリギリまで彼を見つめた。唇が重なるまであと数mm、わたしはギュッと目を閉じた。ふに、と感じる唇の柔らかさ。キスなんて初めてなわけじゃないのに緊張でガチガチに固まるわたしに爆豪さんは焦ったくなったのかこじ開けるように舌を侵入させる。いちいちビクつく身体、なんだか手の震えも止まらない。

「んっ、〜っぁ、」
「……下手くそ、」
「〜〜だっ、て、」
「手、握ってろ」 

優しい。言葉や態度がぶっきらぼうでも人を安心させようとするその心遣いに胸をキュンキュンさせる。再び重なる唇は先ほどよりも濡れていて容赦無く動く爆豪さんの舌先についていくのが必死だった。