高尾和成とお昼ごはん
「〇〇ちゃん……〇〇ちゃん?」肩を揺すられ、重い瞼を開けると、綺麗なオレンジ色の目がじっとこちらを見ていた。
「おはよう……」
私が起きたことに気付き、彼は嬉しそうに目を細めた。
「っても、もう昼だけど……〇〇ちゃん、死んだように寝てたから、起きねーんじゃねぇかなって。オレ超超超心配したんだぜ?起きてくれてマジ良かったァ…」
和成は、自分の腕の中へ私をたぐり寄せた。ちょっと苦しい。
「〇〇ちゃんに先死なれるのとかマジ勘弁。死ぬ時、オレ先がいい」
「……私を勝手に殺さないで」
「ゴメンて。いやぁ〜、〇〇ちゃん、最近帰ってきてから死ぬように寝てるからサ」
「……確かに最近そうかも」
「でしょ。で、オレはそんな〇〇ちゃんのために頑張っちゃったワケですヨ」
どういうことと、私が不思議そうにしていると、和成はいたずらな笑みを浮かべた。
「起きてからのお楽しみ〜。さ、起きて。〇〇ちゃんが支度してる間に用意してっから」
そう言われ、身支度を済ませた後、リビングの椅子に腰掛けた。テーブルにはオシャレな昼食が並んでいる。赤と緑のコントラストが鮮やかなトマトとバジルのパスタに葉野菜のサラダ……そういや、私、和成に私美味しいイタリアン行きたいって……
「デザートもあるぜ」
そう言って、手慣れた手付きでワイングラスに白ワインを注いだ。
「……ノンアル。寝起きに酒はさすがにやばいっしょ」
私はコツンと和成のグラスに自分のグラスを合わせた。
「あの、和成。今日はありがとう……」
乾杯後に私は言った。付き合ってから、和成はちょっと意地悪だけど、いつも私を甘やかしてくれる。
「どういたしまして。今日くらいはゆっくり休んでよ。高尾ちゃんとの約束……ね?」
パチンと彼は私に目配せして―私が何度も頷くと和成は、満足そうに笑った。こうして、私達は、のんびりしたランチタイムを過ごしたのだった。
(2022/07/15)