今吉翔一に腕枕される
「……」夢だったのか。それにしてもあんまり良い夢ではなかった。あんな夢を見て、また寝る気分にはとてもじゃないがなれない。気分直しに水でも飲もうか。そう、ベッドから離れようとすると、隣で寝ている彼を起こしてしまったみたいで― 眠たそうな目を擦りながら、彼は私に尋ねてきた。
「〇〇、どうしたん?」
なるべく音を立てないようにしたつもりだったが……
「起こしちゃってごめんね」
と私が謝ると、彼は私の頭を優しく撫でた。
「ちょっと眠りが浅い時やったから起きてしまっただけや……気にせんでな」
撫でられて気持ちが少し和らいだ。
「君どうしたん?元気ないやん?」
翔一くんはじぃーと私の方を見た。
「嫌な夢でもみたん?」
「え、なんで……」
まさか当てられるとは思ってなかったので、言葉を失っていると、翔一くんがそんな驚いている私を見て笑った。
「いや、ワシ、君のことどんだけ見てきたと思とんの?……分かるでそれぐらい。一応、君の彼氏やから」
……いくら見てるからって当てられないって。そう言いたかったが、私は言うのを抑えた。
「あ……ええことしたろ」
そう言って、翔一くんは腕を伸ばし、ベッドを軽く叩いた。
「〇〇、おいな?」
「???」
「腕枕やて、ほら」
「腕痺れない?」
「……そんなヤワちゃうで。ワシ、男の子やし少しはカッコつけさせてや?」
翔一くんの腕の付け根ら辺に頭を乗せると、翔一くんは私の肩に手を置いた。ドクンドクンと彼の心臓の鼓動が聞こえる。何だか落ち着く音だ。気付けば、私は眠りに落ちていた。
***
「……ちょっと腕痺れてきたわ〜」
彼女は自分の腕の中ですやすや眠っている。
「まぁ、もう少しこのままでええか」
そう思って彼は再び目を閉じた。
(2022/08/04)