八月とゑと



そいつを見つけた時、目の前で光が弾けるような感覚がオレを襲った。
動く度にふわりと跳ねる黒い髪、ツンと尖った金色の目はどこか遠くを見ていて、カメラに写るその姿は、まるで人形みたいだった。だから、だからこそそいつの、生きている姿が見てみたくなった。

「オレと組んで、アイドルになってくれ!」

この時のオレは今までの人生で2番目にワクワクしていた。


「嫌だ」

ぱちぱちと弾ける花火に、いきなり水をかけられたような衝撃だった。
思わず喉が震えて妙な声が出る。

「なぅ、んでだ!オレとお前で組めば、絶対に最高のスターになれる!」
「訳わかんない。俺である必要性が欠片もないし、第一、アイドルなんて面倒で疲れる仕事、やりたい奴だけやってればいいじゃん」
「オレがやりたい」
「俺はやりたくない。面倒」

オレの決死の勧誘は、バッサリと切り捨てられた。
気だるそうにしながらも、素早く的確にテーマに沿った衣服を選び、その服を着る。たったそれだけなのに、ただハンガーに吊るされていただけの衣服がキラキラと輝き、特別な服になる。
カメラの前に立つと、そいつの目線、仕草、ポージング、身体のすべてを使って着ている服を更に輝かせる。
魅せられた。

「やっぱり、あいつだ」

オレを完璧にしてくれるのは、あいつだけだ。


-3-

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