始まりの日

*「わあ!遅刻じゃん!急がなきゃ!」

私の名前は…って、誰に自己紹介してるんだろう…。
とにかく、
今日から私は、新しい高校へ編入することになりました。
歴史のある高校らしくて、少し建物は古いと聞いたけれど…
それも、わびさびってやつだよね!

制服もすごく可愛いし、私は全然問題ない!

*「ここここ!えっと…」

最初どこに行けばいいんだろう…?
教室?職員室?なのかな…


*「っきゃ!」
「わっと」


どんっと衝撃が響く。
誰かにぶつかっちゃった…

*「ご、ごめんなさい!大丈夫でしたか…?」
「ん?あー!いいよいいよ!へーきへーき!
君こそ大丈夫?」
*「は、はい…」
「…ん?もしかして、君って今日、
編入する子だったりする?」
*「え!?な、なんで分かるんですか…」
「実は生徒会長なのでしたー!だから、
「学園」のことはなんでも分かるんでーす!

俺はニノ灯桔梗!よろろー!」

そう言って、気さくに握手をしてくれる。
気さくな人だなぁ。

*「あ、あの、ひとつ聞いてもいいですか?
その、編入して…場所がわからなくて…職員室…ってどこですか?」
「あーね。んじゃ、職員室案内するついでに、俺が、この学校を観光させてあげよーう!」
*「え!?」
「ほらほら着いてきてー!」
*「で、でも…」
「もうこれから、
ここのこと、
ちゃんと知っていかないといけないんだしさ!」




「まずは職員室!ネギせんせー!」
「その呼び方やめろ」

うわっ!なんだかワイルドな男の人が来た…。
教師なのにサングラスっていいの…?

「…?おお、編入の女子か。
俺は明菊。よろしくな」
*「あ、はい!」

でも、見た目に反して、すごくしっかりした先生そう…?

「しかしこの学校は、将来有望のべっぴんさんばっかだな。
先生期待値が高まるってもんだ」
「それ犯罪っすよー先生」
「手を出さなきゃ犯罪じゃないんだよ。鑑賞するくらい許されるだろ」

…や、やっぱり…ちょっと苦手かも…




「そんで次!君のクラス!そしてその委員長!」
「は、初めまして!貴方が新入生さんですね?
白夢心陽と言います。
よろしくお願いします」
*「よ、よろしく!」

こんどはとってもしっかりした子だ…。
委員長って言われても納得だなぁ…

「貴方は「ここ」に来たばかりで、不安になることもあると思いますが…
最大限のサポートをさせて頂きますので、良ければ頼ってくださいね」
*「ありがとう!その時はよろしくね!」

砕けた人達ばかりなのかなって思ったけど、こんなしっかりした人もいるんだね…



「あとー、このこはるんには、お兄さんの先輩がいるんだけど〜」
*「先輩?」
「あ、そうそう、ちょーどあそこの音楽室にいるや」

…そういえば、ピアノの音が流れてる気がする…。
あの男の人が弾いてるのかな?
ガラス越しだから、あまりしっかり姿は見えないけど…
さっきの白夢さんと似たような髪色をしてる…。

「あの先輩は、柴野心幸っていうの。苗字が違うのは、そっとしておいてあげてね〜。
でも!気になるようなら、後で話しかけに行ってもいいんじゃない?」


その先輩も、白夢さんと似て、きっとしっかりした人なんだろうなぁ…。



「ここが保健室!中にはねー」

がらん!と突然ドアを開ける桔梗さん。
*「え!?そんな急に開けたら…!」

「うわっ…なんだよ。急に」
「ここに、こはるんのもう1人の血族、灰獄千陽がいまーす!
ちはるんは、ずっと保健室にいるサボり魔だよー」
「サボってるんじゃない。…行く意味がわからないだけ」

…この子が、白夢さんの姉妹…?

「苗字が違うのも、同じようにスルーね?
後、この子はこはるんの双子にあたりマース!妹らしいよ!」

双子!?
なんというか…全然性格も違うし…わりと見た目も違いが…

「…むぅ。
あのさ、用がないなら閉めてくんない?寒いんだけど」
「あーごめん!わかったよー」

追い出されるように、保健室を出た…



「えーっと、次はー」
「い、いたいた!きょーくん!どこ行ってたの!?」

そこには、赤い髪で、黄色いピン留めをした、可愛らしい男子生徒がいた。

…ここの学校、何気に顔の造形レベル高すぎない…?

「おー!呉羽じゃん。どったのー」
「どうしたもこうしたもないよ!
仕事は貯めないでって言ってるじゃん!
新しい子を案内するのはいいけれど、
やらなきゃいけない仕事もちゃんとしてよね!」
「んー、そろそろ戻んなきゃダメかー」
*「…あ、あの、私はもう大丈夫ですよ?
場所もわかったし、1人で行けます!」
「ん?そーお?分かった!あ、でも、せっかくだから、口頭だけでもうちの生徒会の紹介するね!
まあ俺以外には呉羽しか居ないんだけど!
自己紹介どぞ!」

「え、えぇ!?お、オレ!?
べ、べ、別にオレ紹介するような奴じゃ…」
「これから
仲間になっていくんだからさ、
ね!」

「…え、あぁう…
…椿…呉羽…です。
よ、よろしく…です…」
*「よ、よろしく!」

ぺこりと頭を下げる。
ちょっとなよなよしてる…

「呉羽はね、新聞部もかけ持ちしてるんだよ!
もし部活に興味があるのなら、新聞部に行ってみたら?
呉羽面白いし、絶対後悔しないよ!」
*「へえ…」

新聞部かぁ…面白そう。行ってみようかな?


「ま、そういうことで、俺の案内はしゅーりょー!」
*「ありがとうございます!すごく助かりました!」
「いいってことよー!それに、次からは敬語無しでいいからね!」
*「う…うん!」

桔梗さん達に手を振りながら、再び職員室へと駆ける。
私の新しい学校生活!今から始まります!

*「じゃあ、また後で!」

「はいはーい!

君がどんなところに行って、

どの様に「成る」のか

楽しみにしてるね」


「それでは!

清く正しい

仲間と歩む


学園生活を!」


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