個性把握テスト1







「個性把握…テストォ!?」


体操服に着替えてグラウンドに出れば、伝えられたのは 個性≠使用した体力テストをするとのこと。


「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった。」
「67m」
『(それでも十分人外並みじゃない…。)』


当然というように答えられた記録に驚愕する。男子と女子で体力差はあるだろうが、それにしたってものすごい記録だ。
相澤先生が爆豪くんにボールを投げ渡す。


「じゃあ 個性℃gってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ。
思いっきりな。」
「んじゃまぁ、」


軽くストレッチをしてからぐっと振りかぶって


「死ねぇ!!!」


思いっ切り投げた。
…謎すぎる掛け声と共に。
勢いよく飛んでいったボールは遠く見えなくなって。相澤先生が手に持っている機械が音を立てて記録を記した。


「まず自分の「最大限」を知る。
それがヒーローの素地を形成する合理的手段。」
「なんだこれ!!すげー面白そう!」
「705mってマジかよ!」
「 個性℃vいっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」


一気に周りが沸き立つ。
爆豪くんの記録に対してもそうだろうが、今まで使わずにいた個性を使えるのだからテンションが上がっても仕方ない、のかもしれない。
そんな中相澤先生は静かな声で続けた。


「………面白そう…か。
ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?

よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう。」


…なるほど。「自由な校風が売り文句、それは先生側もまた然り」というのはこういうのも含めてか。
先生の言葉に先程とは違う意味でざわつく。


「生徒の如何は先生の 自由
ようこそこれが、雄英高校ヒーロー科だ。」
「最下位除籍って…!入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても…理不尽すぎる!!」
「自然災害…大事故…身勝手なヴィランたち…
いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれてる。
そういうピンチを覆していくのがヒーロー。」


抗議したくなる気持ちもわからないではない。
しかし見込みが無い人間をそのままにして叶いそうもない夢を見させているくらいなら、早い段階で諦めさせた方がいいだろう。生半可な気持ちでいていいところではない。


「放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから3年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。
Plus ultra≠ウ。
全力で乗り越えて来い。」


ぐっと拳を握る。ここに来てやっと自覚したように思う。ヒーローになる為のスタートラインに立ったのだと。
体力テストの種目は8種。


「さて、デモンストレーションは終わり。
こっからが本番だ。」


どこに、自分の 個性≠使えるか。考えろ。
自分の、最大限の力を知る為に。
最初は50m走だ。各々自分の個性を生かした走りをしている。
自分の番になり、位置につく。艤装は、出さなくてもいいだろう。


『よろしく。』


隣のレーンを走る相手に声を掛けると、照れたように会釈だけ返された。
スターティングブロックが置いてあるが、使う必要は無いため少し邪魔くさく感じる。クラウチングは前のめりになってこけそうになるから苦手だ。
「ヨーイ」と声が掛かった瞬間にジャンプして足元に水を集中させる。スタートの掛け声と共に、水上スキーのようにして水の上を走った。


「4秒08!!」


ゴールして伝えられた記録は、やはり中学の頃の個性を使わなかった時の記録とは比べ物にならないくらい早い。艤装を付けなかったらこのくらいの速さなのか。自分の力を知る事が出来るというのは良い事だ。
その後の握力、立ち幅跳び、反復横跳びは、水操の個性を使えるものは使って。
たまに緑谷くんに目を遣ってはいたが、個性は使っていないようだった。使えない、理由でもあるのだろうか…?


「セイ!!」
「∞!!?
すげぇ!!∞が出たぞーーー!!!」


第5種目のボール投げでは、驚異の∞という記録を出した女の子がいた。重力操作か何かの個性なのだろう。
…さすがに、この種目で自分の最大値を出すにはもう一つの個性を使わなければならないだろう。
次は緑谷くんの番だ。彼はこのままでは最下位になってしまうだろう。


「緑谷くんはこのままだとマズいぞ…?」
「ったりめーだ、無個性のザコだぞ!」
『(無個性…?無個性だったらどうやってあの試験に受かるっていうのよ…。)』


何か覚悟を決めたかのような顔つきで円に入る。そして大きく振りかぶって投げたボールは、46m。愕然とした様子で「今確かに使おうって…」と呟く。何が、起こった?







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よい子の箱庭