三人で家までの帰路に着く。行きは二つだった影が三つに分かれていて。 これが家族になることなのかと、ふと思った。 見上げるともうすっかり、空は青から茜色に染まっていた。
まだ当時4歳だった俺は、10歳の少女が自分の家族になることを何となく自分なりに考えながらも、受け入れることは半分放棄した。というか、よく分からなかった。
血の繋がっていない奴との生活。でも、家族。
だけど何故かその時三人で歩く俺の気分は晴れやかだった。その日の朝、突然の事実を聞いた時の俺とは違って、実際にそいつに会って、会話こそまともにしてないが、やっと何となく理解した。そしてただ純粋に嬉しかったんだと思う。家族が増えるというかは、自分に姉という存在ができたこと。
周りにいるダチに兄妹を持つ者はほぼいない。完全に未知の世界だった。優越感?この感情の名前こそ分からないが、親父と母ちゃんがその日の朝機嫌が良かった理由が、ちょっとだけ、分かった気がした。
「おーーー、今日はやけに空がキレイだなあ。ほれ、見てみ」
そうやって親父が空を仰ぐ。
俺とそいつは言われて同時に顔を上げる。
「わ。ほんとに、キレイ」
そいつの透き通った声が響き、俺は横目でその姿を見た。少しして、そいつは俺の視線に気が付いたのかこっちを見る。途端に恥ずかしくなり、咄嗟に俺は目線を空に戻した。
そしてその時、あることに気がついた。
あの部屋で初めてその姿を見た時の感情、名前の分からなかった感情。 観入るような、吸い込まれそうな深い藍色の目。
似ていた。この景色のようだと思った。色のことではない。
重たそうな雲に覆われながらも、時々覗く茜色の空。とても抽象的に空に映え、重たい雲までも巻き込む淡く優しいひかり。暗い所を照らすように眩しく、強い存在感。
「おーーーいシカマル、置いてくぞーーー」
ハッと声のする方に目を向けると少し先で振り返るように俺を見ていた。
「いまいく!」
二人の背を追うように歩みを進める。
後ろから見る二人の背は何だかまるで家族のようで、ああいつも俺もこんな風に見られているのだろうか。
そして、小さい影の方が躊躇いがちにゆっくりとこちらを振り返る。そっと覗くように。
その目は俺を捉え、交わると安心したように少し微笑みまた前を向いた。
影は三つ並んで、長く伸びて。
「ほれシカマル、手」
「え、なんで」
「ほれ@も」
「はい」
そうニコリと笑ってためらうことなく奴は手を差し出す。
「ほらよっと」
「うあ!は、はなせよー!」
「いいじゃねえかたまにはよ、なあ?@」
「はい、たまには」
「ちぇーーきょうだけだからなっ」
「ははは!素直じゃねえなぁ」
茜色の空の下、俺の家族は四人になった。
当たり前だったその日までの日常は、終わった。
てのひらに温もり
(@ちゃん!良く来てくれたわね、私はヨシノよ。これから宜しくね)
(ヨシノさん、今日からお世話になります)
(男だらけの家だったから来てくれて本当に嬉しいわ!あ、@ちゃん好きな食べ物は何?)
(うーーーん。サバの味噌煮ですかね。あ、卵焼きも好きです)
(あら!シカマルと一緒!!じゃあ今日の晩ご飯はサバの味噌煮に決まりだね!)
(お。何だ良かったなあシカマル、晩飯お前の大好物だってよ)
(お、おう)
(((嬉しそう・・・)))
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さようならいままで、こんにちはこれから
*ねくすと>>時間軸現在へ。本編スタートです
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