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ぶきようでごめん




 

「おはようシカマル、朝ご飯できてるわよ」

「はよ。あれスミレは?」

「今日は演習場で仕事だって言ってたわ。準備があるから早めに出たわよ」

「ふーん」

「あ、それで今日のお弁当間に合わなくてね。シカマルも今日演習場行くだろう?届けてやっておくれよ」

「え。めんどくせえ」

「んな事言ってたらスミレお昼抜きになっちゃうだろう、頼んだからね!」

「はーーーあ。はいはい」

「はいは一回!!」

「ははは、朝から賑やかなこった。シカマルもよお、お前最近やっとアカデミー卒業して下忍になったんだ。ちっとは大人になりやがれ」

「わーってるよ」

「何だ、それとも何か悩み事か?聞いてやるぞ」



さあ!言ってみろ!と続ける親父を無視してご飯をかき入れる。
悩みごとなんかではない。でも、ここ最近ずっとモヤモヤしている。でもこの気持ちが何に対するものなのか、一体どうすれば治る気持ちなのか、分からなかった。
一ヶ月前に、無事にアカデミーを卒業して晴れて下忍になった。下忍が就く任務の内容なんてたかが知れていて、草むしりだとか逃亡した一般人の飼い猫を捕まえたり、老人の買い物代行したり。他にも雑務中心でつまらないものばかり、まあそんなに過激な任務があってもらっても困るのだが。簡単な任務だらけのおかげもあってか、アカデミーの頃に比べても生活リズムはほぼ変わらずに過ごせていた。朝起きて、任務何個かやって、夕方には帰路につける。任務の依頼が少ない日には午前中だけで終わる日もあれば、午後からの日もある。まあ大体空き時間で修行をする日が多いのだが、それでもボーッとする時間が少しでもあるから、何とかなっている。

でも、そんな中、一つだけ変わったことがあった。



「んじゃ行ってきます」

「はい、気をつけてね。スミレにお弁当もよろしく頼んだわよ」

「昼前には届けるよ」

「あ、今日は何時くらいに終わりそうなの?」

「んあー、夕方には終わると思うけど」

「そう、じゃあいつも通りね。スミレは今日夜は外で済ませるみたいだしお父さんも遅いって。早めに夕飯の準備しておくわね」

「・・・分かった」



今日の任務自体は午後からの予定だったが、班でのチームワークを高める為午前中は演習場で修行をすることになっていた。ったく、もう少しゆっくり寝ていたかったのによ、めんどくせえ。

にしても・・・



「今日も母ちゃんと二人か」



そう、変わったことと言えばスミレだ。スミレが、最近良く外で夕飯を済ませてくる。
俺が4歳の頃、急に奈良家の一員となりそれから約8年間、俺の姉をしているスミレ。
俺がまだアカデミーに通っていた頃、時々いない日はあったもののこんな頻繁ではなかった。良く夕飯前や後に修行に付き合ってくれたりもしたものだ。
何となく、理由は分かっている。だが、腑に落ちない。と言うか、なんか、モヤモヤする。
最近のこのモヤモヤの正体は、スミレに関係している。明らかに。ああ。考えるのもめんどくさい。















「あ。シカマルーー!!」

「おはようシカマル」

「おっす、あれ、アスマは?」

「待機所にいるんじゃないかな、もうすぐ来るよきっと」

「ったくーー。どーせ紅先生とでも話してんでしょ」

「朝から元気なこった」

「ん、シカマル今日のお弁当二つもあるの?もしかして僕の分?」

「んなわけねえだろチョウジ。これはスミレのだ。持って出るの忘れたんだとよ」

「ちぇーーー。」

「あ、じゃあ病院寄るの?シカマル」

「んや。今日スミレ演習場で待機してるらしいからよ。この後すぐ会えんだろ」

「あら、そうなのね。ってか!あの噂って本当なのシカマル?!」

「んあ?」

「え、イノその噂って?」

「えっ、チョウジまさか知らないの?あれよ、スミレさんが秋間先生と付き合い始めたって話」

「え。本当なの?シカマル」

「あーー?詳しく知らねえよ。俺だって直接聞いてねえからなあ」

「えー?一番聞きやすい位置にいるのシカマルでしょ?直接聞いておいてよー!もうっ」

「んなわざわざ聞かねえだろ、本人から言われるんならまだしもよ」

「ふーーーん、直接言わないんだねスミレさん」

「まあ確かに、家族には言わないかも知れないわね。特にシカマルなら」

「んなっ、どう意味だよイノ!」

「だってシカマルそう言う話全く興味なさそうじゃないよ。言ったところで何があるわけでも大きく反応するわけでもないと思うし」

「うん、それは確かに言えてるかも」

「はあーー。まあそうだな、考えるのもめんどくせえよ」



そうだ、確かに人の色恋沙汰に興味はない。勝手にやってくれればいい。そう思っていた。でもこの一ヶ月間、あちこちから入ってくるスミレの噂。流石に自分の身内の話題に対してドライではいられなかった。しかも相手はあの秋間隆一。先祖代々から特殊な医療忍術が使える秋間一族で、木ノ葉病院の現医院長の息子なのだ。出回っているのは何もその名前だけではない。その腕は確かなもので、小さい頃から厳しく育てられ、幼少期から叩き込まれた医療に関する知識量は膨大なものだと言う。時期医院長になるのは明確で、奴が病院に来てから患者の生存率がぐんと跳ねあっがったのだ。秋間一族の中でも群を抜いてのエリートだと言う。更にはその容姿の端麗さ。背は高く顔も整っている。穏やかな性格をも持ち合わせ、随分前から病院内は愚か里内での知名度と人気度ナンバー1に押し合っがた男。マイナスな部分を見つける方が難しい。いや、そもそもきっとマイナスな部分はあの男には無いも同然だ。それほど、完璧な男なのだ。



「よおみんな、待たせたなあ」



そう言って現れたのは担当上忍のアスマだった。



「んもう遅いーアスマ先生っ!」

「悪い悪い。今日の任務についてちと変更があってな」

「変更?」

「大した変更じゃないさ。ここじゃ何だし、演習場に行きながら説明するよ」







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「ってことは今日の任務は7班との合同任務になるってことか?」

「そうだ。ちなみに午前中の演習も一緒にやることになった。もうすぐ来るだろう」

「じゃじゃじゃあ先生!サスケ君に会えるってこと?!」



きゃーーー髪の毛もっとキレイにしてくるんだったー!なんて急に身なりを気にしだすイノ。相変わらず興味無さそうにポテチを食うチョウジ。



「んあーそしたらちょっと俺抜けるわ、すぐに戻るからよ」

「お、どこいくんだシカマル?」

「シカマルはスミレさんの所だよ。お弁当渡しに行くんだって」

「おお、あいつ今日こっち担当なんだな、そしたら派手に怪我しても大丈夫だな!」

「いやいや、怪我しないのが一番でしょうよ先生!」




そんな会話を聞きながら医療班の特設テントへと向かう。毎日ではないが、演習場の使用率が高いと予め分かっている日には病院側の好意で医療班が演習場に就く時があるのだ。特にアカデミー生が卒業し下忍への昇格が決まって間もないこの時期は多い。
演習場から少し離れたところにある医療班のテントが見え始め、目当ての人影を探す。



「あの、すんません。」

「はい?あ、シカマル君。どうしたの?」

「スミレいますか?渡したいものがあって」

「スミレね、今読んでくるから少し待っててね」



どうやらこの奥にいるらしい。
そしてすぐにテントの隙間からスミレが出てきた。




「シカマル、どした?」

「これ、弁当。母ちゃんが届けろってよ」

「あ!そうだった、今日の朝早く出たから忘れてたんだ。助かったよシカマル、ありがとう」

「いや、別に」

「わざわざここまで?」

「んや、今日任務の前に演習あったからついでだよ」

「そっか、無理して来させちゃったのかと思っちゃった」

「俺がそんなことすると思うか?」

「うん、思う」

「・・・」

「シカマルは何だかんだ言いながら来てくれるよ。優しいもの」

「そーかよ」

「ん、そだよ。あ、じゃあそろそろ準備戻るよ」

「おー」

「シカマルもみんな待ってるんでしょう?」

「ん、そーだな。じゃあ行くわ」

「ほんとありがとうね。演習も、任務も頑張ってね。あ、小さな怪我でもちゃんと手当てしに来ること!分かった??」

「はいはい。わーってるよ」

「んもう!はいは一回って言われてるでしょー!!」

「外でもそれ言うのやめてくれ。んじゃな、スミレも仕事頑張れよー」

これじゃあ母ちゃんが2人。勘弁してくれ。
逃げるように、後ろ手を振りながら踵を返す。



「あ。ちょっと待ったシカマル!!」



そう呼び止められ振り向くと、何かを投げられた。袋?咄嗟にキャッチ。


「疲れたらそれ食べて!今日一日頑張れーーーー!!」



そうでっかい声で叫ぶスミレ。思わず吹き出す。飛んできたのは酢昆布。…酢昆布て。どっから出てきたんだ、どうせ自分用に持っていたものだろうに。封開いてるし。



「おう、サンキュー」


そう言って歩みを進める。少し、心のモヤモヤが薄くなった気がした。



ーーーー「シカマルは何だかんだ言いながら来てくれるよ。優しいもの」ーーーー


俺のこと、何も知らないくせに。良く言うよ、全く。
でも、そう、あいつの言う通り。
多分、今日の午前中が普通に任務であったとしても、何だかんだ言いながらも届けにきてしまっただろうと思う。母ちゃんに怒られたくないのもあるけど、それだけじゃない。お見通しなのに、きっとあいつは俺のことをまるで何にも分かっていないのだ。でも、それでいいのだ。そうじゃなきゃだめなんだ。この感情は、誰にも知られてはいけないのだから。



「あ、来た来た!シカマルーもうみんな揃ってるわよー!」







いつからか抱えているこの気持ちの名前を知らないまま、今日も一日が始まる。









ぶきようでめん





(シカマル何もってるの?)
(酢昆布)
(酢昆布?もらったの?)
(ああスミレがくれた)
(ふーーーーーん)
(・・・何だよ食うか?)
(んーん、ただ、スミレさんの所に行く前よりも表情が明るくなったなと思って)
(・・・そーか?)
(うん。でもきっと僕しか気付いてないから。大丈夫だよシカマル)
(お前・・・)
(ふふふ、何年一緒にいると思ってるのさ)
((こいつには敵わねえ。。。))




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不器用でも優しい君はステキだ




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