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どうやら彼女はこの世界から消えてしまったようだった。
その理由がフロイドがあの監督生と恋人になったからだと。
もっと詳しく言うと、まあ所謂自殺というものだった。
彼女は病的なまでにフロイドを愛していた。
そんな彼女はフロイドに愛されている監督生に嫉妬して、監督生を傷付けた。
監督生を傷付けた彼女をフロイドは徹底的に突き放した結果、悲しみのあまり自殺、という訳だった。
そんな事件は瞬く間に学園中に広まり、尾鰭背鰭がついて更に大変なことになっている。
渦中の人物は大変気苦労が絶えないだろうに、当の本人は能天気に笑いながら僕の前に姿を現した。
「ジェイド〜、今度服見に行こ〜」
「服、ですか?」
「うん、とびっきり可愛い服ぅ」
「……ええ、いいですよ」
彼女を徹底的に突き放した彼は言う。
「特注で作らせねぇといけないから、早めに行こーねぇ」
「何故、特注なんですか?」
「んん〜」
フロイドはにんまりと口元を釣りあげ、至極幸せそうな顔を見せた。
長年連れ添った僕でさえ見たことの無い、噎せ返るほど甘ったるく蕩けた顔だった。
「大切なもの、ぜぇんぶ俺にくれたからぁ」
僕は知っている。
僕だけが知っている、大切な相棒の大きな秘密。
僕は微笑んだ。
やっと相棒の願いが叶ったから。
心の底から祝福している。
2匹の幸せを願って。
可愛い可愛いエビさんは、どうやら怖い怖いウツボさんにじわじわと締められ、終いには動けなくなったのです。
でも、2人はとてもとても幸せそうでした。
めでたしめでたし。
